【野遊びのススメ】#43 信州野鳥の会の探鳥会へ

冬こそバードウォッチング

多くの生き物が静かな休眠期に入る冬、鳥の姿が目に留まる。木の葉が落ちて観察しやすく、標高の高いところから低地に下りてくる鳥や北方からの渡り鳥も加わり、バードウオッチングにお勧めの季節という。一般も参加できる「信州野鳥の会」の探鳥会に参加し、その魅力を味わった。

自然の中リラックスして

11月20日、朝から小雨で「鳥は見えるのか」と不安を抱きつつ安曇野市明科中川手の御宝田遊水地に着く。しかし、案内してくれた田原偉成(ひでしげ)さん(68、大町市大町)は「雨でも鳥は活動しますよ」ときっぱり。鳥は飛ぶために体を軽くする必要があり、食べては排せつを繰り返し、雨でも餌を取るために動き回るという。羽毛で覆われる体温は40度以上とか。人間ほど寒さを感じないのだろうか。
遊水地にはカモがずらり。「“寝癖”はキンクロハジロ」などユニークな表現を交え、7種類もいると教えてくれた。雌は見分けが難しいが、雄なら色形で特徴がつかめそうだ。
周辺ではにぎやかなエナガの群れ、ウグイスの地鳴きが聞こえ、2時間ほどで30種が観察できた。
同27日、小春日和の松本市アルプス公園には30人が集まった。前回も参加していた小学5年の小野朝都君(10、同市波田)は、遠くを飛ぶシルエットを見て「あっヒヨドリ」、鳴き声を聞いて「シジュウカラだ」と目を輝かせている。
そして「今日は“カラーズ”そろうかな」とにっこり。意味を聞くと、コガラ、ヤマガラなどの「カラ類」に、朝都君が付けた総称という。「胸にある“黒いネクタイ”の違いで見分けられるよ」と指南してくれた。
野鳥の声に耳を澄まし、ゆっくりと歩く。「対岸にシメがいるぞ。しめしめ…」「誰ですか?フフフ」。そんな会話に心が和む。
同会事務局長の楯石明雄さん(同市女鳥羽)は「普段の生活から離れ、仕事や家庭の話をするでもない。鳥が好きということだけで集まっているので、気持ちが楽な方も多いのでは」。
探鳥会に長年参加する鈴木幸子さん(86、大町市社)は「鳥に集中するという同じ思いで参加しているので、気持ちがリラックスできる。自分もみんなも自然の生き物、“自然人”という感覚になれるのが一番の魅力かしら」とほほ笑んだ。

【メモ・信州野鳥の会の探鳥会】
年間約60回、中信地区を中心に開く。極力自然な状態の鳥を見守り観察する方針で、初心者も歓迎。虫や植物もめでながら歩く。参加費300円、中学生以下無料。申し込み不要。日程の詳細はウェブサイト=こちら。問い合わせはshinshuyachounokai@googlegroups.com