鶏と暮らす農家民宿 安曇野市の羽賀さん夫妻

リビングから庭を見ると、鶏がたくさんいる。土をつついたり、走り回ったり。その数約50羽!羽賀浩之さん(56、安曇野市穂高有明)と理恵さん(52)夫妻、2人の子どもが、農家民宿を営みながら鶏と暮らす。
1998年、仕事で塩尻市に。2005年、安曇野市に家を建て、20年11月に農家民宿を始めた。鶏は12年から。産みたての卵かけご飯が食べられる、見て癒やされる、生ごみが餌になり資源化する―と利点は多い。
鶏小屋の製作、販売、設置も手がけ、鶏と暮らす勉強会も随時開く。県内だけでなく、山梨県などにも、小屋を作りに出かける。「鶏友達をつくりたい」。夢は広がる。

安曇野市穂高有明の農家民宿「ニワトリヤ」。古い土蔵を移築再生した建物だ。約150平方メートルの庭で、50羽ほどの鶏が飛び回る。黒っぽいのが「岡崎おうはん」。その中で1羽だけ赤鶏の「あずさ」がいる。どれも動き方がユーモラスでかわいく、見ていて飽きない。多過ぎて名前は付けられないが、あずさだけは「あずさ姉さん」と呼ばれる。これだけ鶏がいるのに、においがしないのが不思議だ。
オーナーの羽賀浩之さんは岐阜県出身。同県多治見市に住んでいた祖父が養鶏を手がけ、遊びに行くたび卵を集めるなど手伝ったり、遊んだり。鶏との触れ合いは、いい思い出で「いつか飼いたいと思っていた」という。賃貸住宅で鶏は飼えないので「こっそりうずらを飼っていた」と笑う。
2005年、安曇野市に移った。11年の東日本大震災をきっかけに、「安心安全な食べ物を自分で作りたい」と思った。妻の理恵さんは友人と田を借り、有機農家に教えてもらいながら米作りをスタート。12年には鶏を飼い始めた。食べ物だけでなく、生活に必要なものは自分で生み出したいと、今では山に入り、チェーンソーでまきも切り出す。
おいしい卵が味わえる。生ごみを食べてくれる。庭の雑草も餌になる―など循環型社会にもつながり、鶏を飼うメリットは大きい。「出すごみに生ごみがない。夏でも草は1本も見当たらない」。においもほとんどなく、「土の上でふんをして歩き回るので、土と混ざる。放し飼いでストレスもないので、健康的なふんが出る。それらがにおいが少ない原因では」と浩之さん。
卵は日によるが、1日30個ほど産む。食べられない分は、お土産に持って行ったり、近所に分けたり。自宅前では6個300円で販売する。
こんな魅力的な鶏との生活を楽しむきっかけをつくろうと、農家民宿では、取った卵で朝食に卵かけご飯を食べられるプランを用意(大人8000円、3歳~小学生7000円、0~2歳無料)する。

小屋の制作販売  鶏友達を増やす

鶏小屋「North Forest」も制作販売しており、SS~Lで13万8000円~(配送料、設置費別途)。市内はもちろん岐阜、静岡、東京などへも作りに出かける。安曇野市豊科の巖本滋(いわもとしげ)生(お)さんは21年に設置。家族も手伝い、羽賀さんと一緒に仕上げた。「にわとりのいる暮らし講座」は、浩之さんの特製テキスト付き。鶏の飼い方のいろはを教えてくれる(1人5000円。同伴の小学生は2000円。未就学児は無料)。
今後も鶏を中心に、いろいろなことに挑戦したいといい、「農家民宿をベースに、人とつながったり、集まって楽しい空間にしたり。鶏友達をつくりたい」と浩之さん。鶏を飼う家が増えることを願う。

ウェブサイトniwatoriya.jp