マコモに可能性“年男”前進誓う

「塩尻の名産に」夢追う

古代から日本に自生し、神聖な植物として神事などに重宝されてきた「マコモ」。魅力に取りつかれて栽培を始め、4年目の今年、さらなる飛躍を遂げようとする年男がいる。
塩尻市の赤坂恭平さん(35、広丘原新田)。母親の家庭菜園の手伝いで農業に目覚めた。マコモに可能性を感じ、自然栽培する。
マコモは生命力が強く、比較的管理が楽な上、大きくなった芽は中華料理の高級食材となり、葉はお茶になる。デトックス(解毒)効果の高い健康食材としても注目される。
生産者に都合の良い作物である一方で、消費者には認知度が低いなどの課題もある。赤坂さんは「遊休農地対策としてマコモを育てる人を増やし、塩尻を“マコモの里”にしたい」。今年、前進を誓う。

デトックス効果 古来日本に自生

赤坂恭平さんが借りている、塩尻市洗馬のビニールハウス内。1メートル以上にもなる長いマコモの葉が乾燥され、お茶として加工される日を待っていた。
「お茶は、甘みがあると評判がいいです。体内の毒素などマイナスのものを排出する、デトックス効果が強いといわれています」
マコモはイネ科の多年草。古来日本に自生し、浄化作用があるとされる。出雲大社のしめ縄の一部にも使われるなど、神事とも関わりが深い。
新芽のマコモダケは食用に、葉は乾かして飲用になる。高級食材として中華料理などに使われ、タケノコとアスパラガスの中間のようなシャキシャキした食感だ。ほのかな甘みがある。
長引くコロナ禍で、免疫力アップやそのための「腸活」などにも注目が集まる昨今。株分けで増えるなど栽培しやすく管理も楽な上、健康増進などに高いポテンシャルを秘めるマコモに、赤坂さんはぞっこんだ。

赤坂さんは塩尻市出身。宮大工に憧れ、東京で建築の専門学校を卒業後、地元で伝統工法を重んじる大工に弟子入りした。その後、進路を変え、飲食店で働く傍ら、自然農法に興味を持つ母の家庭菜園作りを開墾から手伝うように。農業に面白さを感じるようになった頃、出合ったのがマコモだった。

栽培4年苦労も 魅力多くの人に

4年前、伊那の生産者から株を分けてもらい、自宅近くの1アールの田んぼで育て始めた。思いがけず立派に育ち、手応えを得た。「作物として魅力的」と思い、翌年は5反(約50アール)の敷地を借りて栽培したが、時期を逸して不作に。
昨年は1000株が順調に成長。秋にはマコモダケ450キロが収穫でき、松本の「ヒカリヤ」、塩尻の「中信会館龍胆」など有名飲食店に卸したほか、直売所でも販売した。地元の子どもたちにも味わってほしいと、塩尻市内の小学校7校にも届け、給食に取り入れてもらった。「おいしかったという、子どもたちからの直接の声や笑顔が何よりの励みになった」と振り返る。
大変さもある。無農薬で育てるため、雑草取りに時間がかかる。夜は飲食店勤務のため、日中に収穫、選別、配送と1人でこなすのには限度がある。収穫しきれず時季を逸したものもあった。
「今年は作付けも人手も増やし、本業として成立させたい。旬が短いので加工品にして付加価値を付けたい。何よりマコモの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい」。自身のSNSでは、栽培の様子や食べ方なども発信している。
地域課題ともなっている遊休農地対策としても「マコモは有効」と赤坂さんは考える。「価値観を理解してくれる若者や新規就農者にも栽培を広げてもらい、塩尻の名産にできたら。道筋を自分が付け、地元に恩返しがしたい」と将来を見据える。
詳細はインスタグラム