岡田神社に絵馬奉納続け15年

中世の絵巻物「鳥獣戯画」風に描かれたウサギが、月の舟をこいでいる─。松本市岡田下岡田の岡田神社に奉納された、今年の絵馬の図柄だ。
描いたのは村山忠勇(ただお)さん(81、岡田下岡田)。絵馬奉納を続けて15年目になる。きっかけは2008年、氏子総代会長を務めた時。同神社宮司の小林修さん(72、同)と話し「年末年始と5月の例大祭はにぎわうが、それ以外の時が寂しい」と話題になった。境内に趣を添えようと、絵が得意な村山さんが絵馬を描くことになった。
「農作業の始めにお参りする人、帰郷して訪れる人…。幸せを願い神社を訪れる人たちを、勇気づけられる絵を描きたい」。絵馬を楽しみに、毎年参拝する人もいるという。

気力で「まだまだ描き続ける」

松本市岡田下岡田の岡田神社に、絵馬の奉納を15年間続ける村山忠勇さん。今年はしっかりした木の板に描いたが、ずっと同じ画材だったわけではない。
最初は模造紙。ところが、奉納してすぐ、よれよれになった。ボール紙に描いた年も長持ちせず、2011年から板に替えた。村山さんが自分で板を切り、90×120センチに整えた。3年前から、氏子総代会長の赤羽篤さん(70)が、90×180センチの板を用意している。
地元では絵馬の出来栄えが話題になることもある。5年ほど前には、岡田小学校の校長が、奉納された絵馬を見て始業式で干支(えと)の歴史について話した。その話が地域の広報紙で紹介され、絵馬はさらに知られるようになった。

豊穣の願い込め 御朱印の挿絵も

絵馬に加え、今年は御朱印帳の挿絵を村山さんが描いた。雨乞いの神である竜と、魔よけのこま犬に守られながら神主が祈る姿を描き、デジタル化してパソコンから印刷できるようにした。パソコンが得意な氏子総代副会長の大澤道直さん(72、岡田下岡田)の提案で完成した御朱印用紙(500円)は、寒い中でも順番を待たずに御朱印がもらえると評判だ。
岡田地区は高台にあり、かつては水に恵まれなかった。五穀豊穣(ほうじょう)への願いは特に強く、竜を描いたのもそのためだという。
ウサギの絵馬にも願いを込めた。大きな4文字「開運招福」に加え、「戦いのない明るい年へと向かいます」などの文字を書き入れた。
村山さんは7年前から病気の治療を続けている。闘病生活の支えは医療技術の進歩と家族の愛。「気力と食欲が大事。まだまだ絵馬を描き続ける」と気持ちを奮い立たせた。