【ビジネスの明日】#44 オプトアルファ専務 有川貴樹さん

責任を胸に2代目就任へ

「小売りの形態が多様化する中、対面でのきめ細やかなサービスを提供したい」。こう話すのは、眼鏡、補聴器の専門店・オプトアルファ(松本市並柳)の有川貴樹専務(50)だ。3月には創業者の父・英三さん(73)の後を継ぎ、2代目社長に就任する予定。「今から責任を感じる」と気を引き締める。
「父のお客も多く、高齢化が進んでおり、店に来られない人が増えた」。こうした状況から視力検査などの出張サービスを行うようになり、昨年9月、「さらに注力するため」に、現場で手軽により正確な測定を可能にし、レンズの度数などを決められる「オートレフラクトメーター」という手持ち式の測定器を導入した。
高齢者施設などからの出張サービスに関する問い合わせや要望が「確実に増えている」といい、「新聞やテレビなどが見えにくいというのは、日常生活で切実な問題。これからは、このサービスをもっと前面に出していきたい」と方針を固めている。
また、これまで民間資格だった「日本眼鏡協会SS級認定眼鏡士」が、昨年11月から「一級眼鏡作製技能士」という名称の国家資格になったことで、改めて試験を受け、合格した。
「目や眼鏡に関わる知識や技能を必要とする資格。お客さんの信頼感をより増すことができれば」と期待する。

同店は英三さんが1985年3月に松本市城西にオープン。翌86年に2店舗目として同市並柳に現店舗を開いた。
子どもの頃から「跡継ぎ」の意識はあり、大学を卒業して眼鏡の専門学校に通うころには「心は決まっていた」といい、「自分を育ててくれ、学校にも通わせてくれたのは、この店のお客さん。店を引き継ぐのはその人たちへの恩返し」と話す。
3月には2代目に就任する予定だが、眼鏡に限らず、小売り業界の形態はチェーン店の進出やネット販売など多様化。個店を維持するのは容易なことではない。
「出張サービスをするにしても、いざというときには駆け込める、ちゃんとした店を構えていることで信頼感が出る」と強調。眼鏡を購入するための多くの選択肢がある中、「『街の眼鏡屋さん』として選んでもらえたら。地域に密着し、お客さんが望んでいるサービスを提供していきたい」と力を込める。