【眺めてみれば】#19 森永乳業松本工場の高架水槽(松本市)

夕暮れに浮かぶシルエット

晴れた日の夕暮れ、棒付きキャンディーのようなシルエットが西の空にくっきりと浮かび上がった。同工場のシンボルで、地域のランドマークにもなっている建造物。「中身はミルク?」と思ったが、訪ねて聞くと、地上25メートル、直径6メートルの球体部にかつて入っていたのは、最大約100トンの地下水という。
1967~2004年に使われたこの高架水槽は、2万平方メートルの敷地にある全施設に重力によって給水。銘板には「ウォータースフィア」と記されている。
同工場は主に粉ミルクの原料を製造。水は貯乳タンクなどの洗浄に必要で、現在はくみ上げた地下水を複数のポンプで安定供給している。
同社は全国各地の工場で老朽化した高架水槽の撤去を進めており、永坂章工場長(55)は「撤去の時期は未定だが、その前に地域の人に近くで見てもらえる機会を設けたい」と話している。