MTB白馬村の2選手 パリ五輪代表へ名乗り

自覚持ち人としても一流に

2024年のパリ五輪日本代表に向け、男女2人が堂々と名乗りを上げた。
昨年10月に韓国で開かれた自転車のアジア選手権で、MTB(マウンテンバイク)クロスカントリー男子エリートで、白馬村の北林力(りき)(23、AthleteFarmSPECIALIZED)が、同女子U─23(23歳以下)で、安曇野市穂高の小林あか里(21、弱虫ペダルサイクリングチーム)が、共に初優勝を果たした。
パリ五輪代表になるには、9月にインドで開かれるアジア選手権での優勝が絶対条件。
同競技で複数の五輪選手を輩出している中信地区から、系譜を継いで頭角を現した若手2人。北林は「日本選手を引っ張るつもりで」と自覚を見せ、小林は「これまでで一番大事な年になる」と気を引き締める。

先頭を独走もライバル警戒─北林力

韓国順天市で昨年10月に開かれたアジア選手権。昨年から、年齢別の最上位・エリートに初挑戦している北林力は、約50人が出場したレースで、スタート直後から先頭の位置を確保した。「スタートしてすぐにコース幅が狭くなるので、そこをトップで入りたかった」というレース前のプランをそのまま実行。
結果として一度も先頭を譲ることなく、2位に約40秒差をつける、ほぼ独走状態でゴールした。
北林は「この大会はコースが難しくなるので、自分には楽なレースになると思っていた」と打ち明けた一方、「これまで、アジアでは日本、中国が頭一つ抜け出ていたが、最近はタイ、韓国、インドネシアなどが力を付け、全体的に差がなくなってきた」と警戒感を強める。

技術には自信 スピード課題─小林あか里

小林あか里もスタート直後から先頭に立って独走態勢をつくると、「あとは何もなかった」と、2位に大差を付けゴールした。
国際大会初優勝だったが、表情は渋い。「狙った大会で結果を出せたのはよかったが、内容には納得できない」。理由は、パリ五輪の選考ではライバルとなるエリートの中国人の2選手が、ラップタイムで上回っていたからだ。
小林は「技術には自信はあるが、絶対的なスピードを付けなければ」と課題を挙げる。
2人は昨年11月に開かれた国内最高峰の全日本選手権にも出場、そこでは明暗を分けた。
悪天候の中の大会で、北林は2位、小林は同時スタートのエリートの選手にも勝ち、優勝した。北林は「どんな状況や環境でもそれに対応して勝つのが本当に強い選手」と自らに厳しさを課す。小林は「途中、転倒もしたが勝てた。今後、自転車をとことんやろうと思えるレースになった」と喜ぶ。

北林は昨年から、同競技で五輪4大会に連続出場した山本幸平さん(37、松本市里山辺)が結成したチームにプロ選手として所属し、山本さんからマンツーマンに近い形で指導を受けている。
小林も2019~21年はスイスを拠点にしていたが、昨年から日本に戻り、アトランタ五輪代表の母・可奈子さん(52)がコーチとなり、二人三脚で取り組んでいる。
男女ともにパリ五輪の代表の座をつかむには事実上、9月にインドで開催予定のアジア選手権で優勝する以外に道はない。
北林は「自信はあるが、まずは自分が日本代表であるという自覚をしっかりと持たなければ」と気を引き締める。
小林は「アジア選手権で優勝するためには、目の前のことを大切にして、選手、人として一流にならなければ」と、しっかりと見据える。