変面師・小林さん 中国秘儀の世界へ

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変面を松本平に広げたい

色鮮やかな衣装を身にまとい、軽快な音楽に合わせ観客に近づき、扇や手を顔にかざしたその瞬間、お面が変わる。次々と目にも止まらぬ速さで変わる姿に、観客は驚きの声を上げ、大きな拍手を送る。これが変面ショーの醍醐味(だいごみ)だ。
松本市の小林一矢さん(42、南松本)。日本ステージプロダクション協会(前橋市)の変面推進北信越支部長を務める。
子どもの頃にテレビで見た変面が忘れられず、3年ほど前から中国人の指導者の下で練習を重ねた。昨年9月、プロの変面師に。松本市と安曇野市の社会福祉協議会のボランティアに登録し、ショーを行った。小林さんは「コロナ禍でイベントが限られるが、本格的にプロの変面師として活躍したい」。勝負の年になりそうだ。

失敗許されない厳しい伝統芸能

「変面」とは、中国四川省の伝統芸能で、役者が手や衣装の袖、扇子などで顔を隠した瞬間に、お面を変える演技。お面の表情で喜怒哀楽を表現する。布のお面を使用しているようだが、どのような仕組みなのかは「秘伝」とされている。
秘儀のため演技の失敗は絶対に許されない。日本で活動する人数は正確には把握できないが、数十人しかいないらしい。
日本で数少ないプロの変面師である小林さんは、南箕輪村の出身。小学生の時は空手に打ち込んでいた。地元の高校を卒業後、長距離トラックの運転手や製造業で働く。鉄道が好きで「いつか鉄道関連の仕事に就きたい」と思い、JR長野鉄道サービスに転職、松本支店で車両の整備やメンテナンスをしていた。
念願の分野の仕事は充実していたが、昔から気になっていた変面のことが忘れられなかった。働きながら変面の修業をし、昨年プロに。「失敗が許されない厳しい仕事だが、お客さんの驚く表情を見るとやりがいを感じる。変面を松本平に広げることが夢。どこへでも行くので、気軽に声をかけてほしい」とこれからを語った。
問い合わせはメール(kobayashi@jsproa.com)で。日本ステージプロダクション協会はこちらから。

【お面の色の意味】
紅:正義感、気骨のある人物。忠臣など。
紫:温和な人物で忠臣など。
黒:謹厳実直で勇猛な人物。
白:邪悪で危険な人物。
黄:策略家、凶悪。
青:短気で気性が激しい人物。
緑:強暴で邪悪。
金(銀):神や仏、妖怪など、人間にはない力を持っている。

伝統的なお面だけでなく、現在では中国でもイベントの後半には、子どもたちのためにキャラクターのお面が登場することもある。次々とお面が変わり、最後に小林さんが現れる。