
記者の6歳になった長女がお金に興味を持ち始めた。最初は店員さんがくれる釣り銭を見て「わぁ、いっぱいくれた!」と、かわいいことを言っていたが、そのうち「私も欲しい」ときた。さあて、どうする。親子向けのお小遣い教室を開くファイナンシャルプランナー唐澤千恵美さん(42、塩尻市大門桔梗町)の事務所に駆け込み、アドバイスをもらった。
唐澤さんは小学1年、中学1、3年の男の子を育てる母親。試行錯誤しながら、家庭でお小遣い教育を実践中だ。
─娘は年長。お小遣いはまだ早い気がする
お金に興味を持ち始めた時が、お小遣い教育の始め時。未就学児の場合、お小遣い制にする必要はありません。「お金は使ったらなくなる」ということを覚える程度で十分。
例えば店で「今日はニンジンの買い物担当ね。一番いいのを選んで」と頼み、代金を子どもに渡す。会計は親と別々。「物を手に入れたらお金が減る」「お金がなくなったら物は買えない」ということを繰り返し体験することが大切です。
─買い物のたびに菓子をせがまれて苦労する
例えば月300円とか、親の許す範囲で子どもに与え、子どもが自分の財布から買う体験につなげてみてはどうでしょう。子どもは「今日は買うのを我慢して、次にもっと高いのを買おう」などと考えるようになる。親が渋々買うくらいだったら、前向きな買い物にすると楽しいですよ。
─お小遣い制はいつ頃から始めるのが望ましいか
子どもの成長や性格、家庭環境や考え方によって違いがあるので一概にいつからとは言えませんが、小学生になり「そろそろかな」と思うようになったときがいいでしょう。親だけ「やるぞ!」と言っても、子どもは付いてきません。
─唐澤家のお小遣いはどのようにしている
お金を管理する力を養ってほしいと思い、定額制にしています。そしてその額は、毎年春休み中に、子どもたち一人一人と新年度の予算会議を開き、一緒に予算を決めます。
ニーズ(必要な物)とウォンツ(欲しい物)を書き出し、何に親が金を出し、何を自分で買うかを話し合う。そこで出た年間の必要額を12で割り、毎月のお小遣いとして渡します。当然、長男と次男では額が違いますが、不平不満は出ません。
学年が上がるにつれ、欲しい物の値段が高くなります。例えば「2000円のシャープペンシルを買いたい」と言われたとき、親は「高い」と否定したくなりますが、「どうやったら買えるか」を一緒に考えることが重要です。
─予算立ての時に大切にしていることやこだわりは
「誰かのために使うお金」を予算に入れます。いくらでもいいのですが、わが家では月50円ほど。息子たちはそれを箱にため、時折募金します。たとえ少額でも「人のためになる使い方がある」と知ってほしいのです。
今は100円から積立型の投資信託ができるので、投資額を予算に入れて、資産運用を体験するのもよいかもしれません。こだわりは、本の代金は全て親が出すようにしていることでしょうか。
各家庭で収入が違うので、お小遣いの額も違います。親子が話し合い、子どもが「自分で決めた」と納得して予算を組む。互いの気持ちを伝え合うことが一番大切です。
─お小遣い教育における親の心構えは
小学生のうちは無駄遣いを身をもって覚える時期。親の目の届くうちにたくさん失敗してほしい。できなくて当たり前、欲に負けて当たり前。怒らず焦らず、見守りましょう。
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唐澤さんTEL090・1887・0440