デコパージュ作家 安曇野に移住

小西恵利子さん 安曇野市

イラストなどが入った絵や紙などを切り抜き、布や家具などに貼って、表面をコーティングするデコパージュ。小西恵利子さん(73、安曇野市穂高有明)は、素材にガラスを使い、切り抜いた紙だけでなくレリーフなども用いて、独創的な作品を生み出す。
長年住み慣れた北海道から昨年信州に移住。同時に京都や名古屋などの大学で情報学を教えていた修さん(80)と入籍、安曇野で新生活を始めた。
体力的な限界を感じ、デコパージュをやめようと思った時期もあった。だが今は「食欲、睡眠欲と同じで、自分が作りたい。だからストップはかけないつもり」と小西さん。
「70年生きて人として成熟する時期」。経験と新生活の刺激が、どんな作品を生み出すか。

英国で出合い20年前師範に

縦90センチ、横80センチのガラス板をベースにしたデコパージュ作品。ヨーロッパの古い天井柄をコピーしたものや、まんだらの模様などを裏側から貼り付ける。花や、自身が写経した般若心経を素材にすることもある。
表からは、タイで手に入れたブッダのレリーフ。「なぜブッダ?」「どうしてレリーフ?」と思うが、深い意味はない。立体の面白さを感じ、「宇宙の大いなる姿を、ブッダを通して表現したい」と取り入れた。
小西恵利子さんがデコパージュに出合ったのは、30年ほど前。英語教室を開いていたこともあり、英国へはよく出かけた。サマースクールに参加した際、技法を知った。「日本でデコパージュを広めてくれたらうれしい」と言われた。20年前に師範の資格をもらい、日本で教え始めた。
自分の気に入ったモチーフで、自分が感じている世界をデザインして形にできるのが、デコパージュの魅力だ。小西さんは「いろいろな世界から引っ張り出したものを見ている人に伝えられる楽しさがある」と語る。
木やブリキなど、いろいろな材質に施すことができるが、一般には工芸品としてのイメージが強い。小西さんはガラスの板を額装するなど、アートとしてのデコパージュに取り組む。
けんしょう炎を治そうとマッサージを受けるため訪れたタイで、ブッダのレリーフに魅了された。「タイの家の壁に飾られていた彫刻がすてきで、立体の面白さを感じた。ブッダを作品に取り入れたい」と「ブッダシリーズ」が生まれた。
小西さんが作り続ける作品に「地球シリーズ」もある。穏やかで平和で美しい地球の姿を願い、花や妖精を表現する。「宇宙から見た地球をモチーフに取り入れている」。小西さんの感性、思いが形になっている。

作品への情熱変わらず熱く

小西さんは若い頃結婚したが、離婚。その後長く独身で暮らした。夫の修さんは10年前妻と死別。2019年、二人は修さんが行きつけの北海道の喫茶店で偶然出会った。「自然や宇宙への考え方、感性が似ている」「波長が合う」と一緒に暮らすことに。「新しい人生を新しい場所で」と、安曇野への移住を決めた。水や自然の美しさが印象に残っていたという小西さん。山岳会に所属していた修さんにとっても、思い出の場所だ。
イメージに合う素材を探したり、そこにある素材から想像を膨らませたり。最初の構想とは全く異なる作品に仕上がることもある。花を用いたり光を表現したりすることが多いが、「チョウやトンボをテーマにした作品も作りたい」。安曇野で修さん、セキセイインコのメサイヤと穏やかな生活を送るが、デコパージュへの情熱は変わらず熱い。