車の縁 木曽平沢の漆器PR

漆器・家具「庄太郎」 宮原勝弘さん 塩尻市 

白のレーシング用ヘルメットを手に取り、「職人の技を集結し、木曽平沢を世界に発信できるような漆塗りを完成させたい」と話す漆器・家具製造販売「庄太郎」社長の宮原勝弘さん(53、塩尻市木曽平沢)。
漆器業の2代目で、クラシックな型の日産スカイラインとサーキット走行会の愛好者でもある。レースやイベント会場では、全国のレーサーや愛好者から一目置かれる存在だ。
漆塗りヘルメットは、全米各地を転戦する自動車競技に参戦する女性ドライバー・塚本ナナミ選手が着用する。レースで日本の伝統工芸品を身に着けたいと希望し、サーキット仲間のつながりで宮原さんに話が来た。
レース先で木曽平沢をPRする宮原さん。車と漆器への熱い思いがある。

塚本選手希望の漆のヘルメット

漆器・家具製造販売、庄太郎の直営店「木風(もくふう)館」(塩尻市木曽平沢)の一角。漆器の皿に書かれたサーキットレース界スターのサインが並ぶ。20枚以上、社長の宮原勝弘さんが直接本人に会って集めてきた。
ドリフト走行で競う自動車競技「フォーミュラ・ドリフトUSAプロ1」に出場し、女性初のシリーズチャンピオンを目指す塚本ナナミ選手のサインも。
サーキット走行会で以前から塚本選手と面識のあった宮原さん。昨年10月、プロレーサーの知人から塚本選手の漆塗りヘルメットの提案を受けプロジェクトを始動。11月に塚本選手が木曽平沢を訪れて打ち合わせをした。
地元職人らで漆塗りや沈金、蒔絵(まきえ)などを施し「信州木曽漆器」のロゴマークを入れ5月までに渡す。「塚本選手が活躍すれば漆塗りのヘルメットも注目され、全米で木曽漆器をPRできる」と期待する。
宮原さんは10代の頃から車やバイクが好きで、28歳の時、憧れていた自身の生まれ年と同じ1969年式の日産スカイラインGT-R(通称、ハコスカ)を購入、全て手作業で11年かけ完全に復元した。愛車で富士スピードウェイ(静岡県)を走ったのがきっかけで走行会に参加するように。
7年前から本格的になり、多い年は10回以上参加した。人脈の広がりと情熱や熱意が認められ、レーシングドライバーらが集う会員制の懇親会に参加できるようになった。漆器をPRしたい─と約150人に箸を無償提供。毎年続けるうちに「漆器屋さん」と親しまれるようになった。

斬新なアイデア“走る木曽漆器”

18歳から6年間、会津若松(福島県)で漆塗りを修業後、木曽平沢の漆器店で10年間営業を担当し、46歳で庄太郎の社長に就いた宮原さん。県外の人に木曽漆器を紹介する際、木曽平沢の認知度の低さを感じていた。
木曽平沢では、家並みが国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたものの、集客が思うように伸びていなかった。
斬新なアイデアで街に人を呼びたい─と、昭和43年式「スバル360」を、同級生の漆職人と7人で1年をかけ、全面漆塗りに。2016年、“走る木曽漆器”として注目を集めた。
また、旧車愛好者として雑誌やテレビ番組に取り上げられる際も、必ず木曽漆器を紹介。見た人が漆器に興味を持ち木曽平沢に足を運んでくれることを願う。
自身の趣味について「クラシックカーは自分で車を操作する感覚を味わえるのが楽しい。安全に走って自分の腕を少しでも上げたい」と宮原さん。サーキット走行会関係で木曽漆器を購入する人も増えたといい、「いつか日本最高峰レースの優勝トロフィーを漆器で作るのが夢」と思い描く。