アルクマ列車 3年間癒やしの記憶 大糸線の風景の中に

JR大糸線などを約3年走った、長野県のPRキャラクター「アルクマ」のラッピングを施した列車が、昨年12月25日で運行を終えた。未曽有のコロナ禍の中、信濃路を駆け抜けたその列車は、見る者の心をほっこりさせ、癒やしと元気をくれた。写真で記録し続けた姿を多くの人と共有し、記憶にとどめたい。
【アルクマ列車とは】
JR東日本長野支社が、運行開始から10年がたつ臨時快速列車「リゾートビューふるさと」と、誕生10周年を迎えた「アルクマ」とのタイアップ企画として、ラッピング車両を走らせ始めたのは2019年11月。土日曜と祝日を中心に、篠ノ井線と大糸線経由で長野|南小谷間を往復した。
ディーゼルエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド気動車「HB|E300系」2両編成に、アルクマのほかに四季を表現する桜の花びらや若葉、紅葉、雪の結晶が描かれた。
【沿線の原風景に調和】
「リゾートビューふるさと」の列車名に、蒸気機関車(SL)を追って撮影した日々を思い出し、旅情をかき立てられた。19年の「ゆるキャラグランプリ」で1位に輝いたアルクマのラッピング列車は、見慣れた景色に新鮮で、絵になった。
北アルプス、里山、田園、仁科三湖(木崎湖、中綱湖、青木湖)、古道「塩の道」、姫川の流れ…。大糸線沿線の風景に溶け込み、調和し、快走する姿は美しかった。
【列車との出合いと別れ】
出合いは、20年9月12日だった。小谷村の雨飾高原のブナ林で、真夜中に発光するツキヨタケの撮影の下見に向かう途中、第2姫川橋梁(きょうりょう)を渡る優しげな雰囲気の列車に、目を奪われた。停車中の南小谷駅で入場券を買い、ホームへ。“一目ぼれ”だった。
この列車を、大糸線沿線の風景とどう組み合わせ、撮影するか?アルクマが頭にかぶるリンゴの畑や、北アルプスの雪形と共演させたり、「塩の道」の石仏群とコラボレーションさせたり。黄金の稲穂が波打つ安曇野、白いソバの花が揺れる湖の畔(ほとり)…。描いた構図を求め、列車を追い続けた。
ラストラン前日の昨年12月24日は、激しい雪の中、青木湖畔で待った。列車は雪煙を上げながら、力強く通り過ぎた。翌日は、初めて出合った第2姫川橋梁へ。脳裏に描いたシチュエーションの通り、雪上に並べたアルクマ一家の人形とともに見送った。「たくさんの感動をありがとう。忘れないよ!」
さようならは言わなかった。アルクマ列車は、今も私の心の中で走り続けている。
(丸山祥司)