
白馬村北城の白馬アルプスオートキャンプ場に展示され、老朽化が進む蒸気機関車(SL)を修理し、周囲のロケーションと併せて観光資源として活用できないか―。昨秋にプロジェクトを立ち上げた白馬高校国際観光科3年の松井遥暉(はるき)さん(18)が、具体的な活動に向けて情報収集や調査を進めている。一緒に活動する仲間も募集中だ。
愛好家らの助言受け
SLは、約50年前に旧国鉄から村に無償貸与されたC56形150号機。現役時は主に小海線などを走った。近年は目立った活用や手入れがされず、風雪にさらされてさびたり、塗装がはげかけたりしている。
松井さんは川崎市出身。全国募集の同科に、親元を離れて進学した。小さい頃から鉄道ファンで、入学後にこのSLの存在を知ったが、初めて目にしたのは昨夏にソロキャンプをした時。背後に白馬三山を望むまたとない場所なのに、付近は木が邪魔するなどして「魅力を生かし切れていない。放置されていてもったいない」と感じたという。
昨年10月に参加した村内の宿泊業経営者の有志によるイベントで、SLがある場所が、1982(昭和57)年夏に著名な漫画家が村に集った催し「マンガ王国」で、松本零士さんの作品「銀河鉄道999」からイメージした「銀河鉄道公園」という設定だった歴史も知り、修復に向けて行動しようと決意した。
村内の鉄道愛好家に相談したり、県内外の修復例を調べ、携わった人たちに会いに行ったり。校内や同世代の若者、地域の幅広い世代などの集まりで思いや構想を披露し、「熱意だけでは実現できない」と多くの助言を受けた。
同11月には、麻績村の聖博物館にあるSLの修繕や清掃をしているボランティアグループの、高校生を含む有志3人の協力を得て清掃もした。「地元の人も遊びに来たという、思い出の詰まったSLだと分かった。地元の盛り上がりがほしい」
車体の塗り直しや補修、覆い屋根の設置や周辺の景観整備といった計画を練り、費用集めにクラウドファンディングなども検討中。目に付きやすい場所に移すことも視野に入れ、計画をまとめて村などに伝えたいとする。
今春、都内の大学へ進学が決まり、あと少しで村を離れるが、修復プロジェクトには、行き来しながら継続して取り組むという。「3年間暮らした村にあるSLは、なくなってほしくない」と松井さん。活動の様子や連絡は = インスタグラム=で。