市役所隣接の擬洋風建物・旧新家医院保全し店舗活用

明治時代に建てられた擬洋風の建物が今月下旬、小さな複合店舗として生まれ変わる。松本市役所に隣接する、旧新家(にいのみ)医院(丸の内)だ。市の近代遺産にも登録されている歴史的建造物を、保全するだけでなく地域活性化にも生かす試みだ。
旧新家医院は、松本市役所東庁舎の南側。白いしっくい壁が美しい木造2階建てで、明治40(1907)年ごろ建てられた。眼科を経て約30年前に廃業、近年は空き家だった。市庁舎建て替えに合わせ取り壊す可能性もあったが、情勢変化などを踏まえ、昨年所有者が外壁を修理した。
活用を計画しているのは、行政書士の藤木大介さん(40、蟻ケ崎2)。旧開智学校近くで「信州松本城町(しろまち)文庫」を運営する。レンタル棚や休憩所などがある民営コミュニティースペースで、松本城周辺で2号店を出す可能性を探っていた。「価値ある建築物を守り活用するのに、所有者個人では限界がある。仕組みを作りたい」と旧新家医院の利用に名乗りを上げた。
診察室や待合室だった館内を改修、耐震化。1階の半分を店舗として3区画(各8平方メートル程度)貸し出す。初めてでも出店しやすい料金でスタートをサポートする計画。すでに1区画は土産物店が出店予定だ。
藤木さんは「労働力のシェア」も考案。店の1区画が休みの時は他の区画の人が会計を担当するなど、人件費の圧縮を目指す。
残り半分のスペースは、市民や観光客が休めるセルフのカフェスペース。物販・展示用レンタル棚を置き、ワークショップなども開ける場にする。
古い建築物が好きという藤木さん。歴史的な建物の取り壊しが相次ぐ中、「魅力ある景観を守るためにも、運営手法を確立したい」と夢を描く。
賃料1区画2万円から(共益費、出店料別)。