
安曇野市豊科近代美術館は冬の小企画展として3月26日まで、「奥村光正静物の世界」を開いている。所有する同市豊科出身の洋画家、奥村さん(1942~97年)の作品約80点の中から静物画を主に12点を展示している。
奥村さんは小学生の頃からデッサンを習ったり、近隣の画家と交わったりする環境で育った。15歳で県展に初入選。東京芸術大と同大大学院で油彩画を学んだ後、同大の小磯良平教室で助手を務めた。結婚後の72年に渡仏。以後はパリで生活を続け、現地で亡くなった。
会場には大学時代に描いたやや厚塗りの作品「鳥かごのある静物」などと、渡仏後に落ち着いた色合いで仕上げた半抽象画「Still Life」「貝殻の静物」などが並ぶ。展示の半数は制作年不詳。アクリル絵の具をベースに、雑誌の切り抜きを貼り合わせたコラージュ作品も1点ある。
学芸員の荒川瞳さんは「貝殻は朝の散歩で入手したらしい。骨董(こっとう)市で見つけた古いミシンや、フェンシングの防具なども描いている。点数は少ないが、安曇野が生んだ画家の足跡を味わって」。
午前9時~午後5時。月曜と2月24日、3月22日休館。一般520円、高大生310円。常設展示の高田博厚の彫刻、宮芳平の洋画なども鑑賞できる。同館TEL0263・73・5638