
目指すは全国
第49回東海アンサンブルコンテストは11、12日、津市で開き、中信地区から中学校の部(初日)に、鎌田(松本市)のクラリネット四重奏と梓川(同市)のクラリネット六重奏が、高校の部(2日目)に豊科(安曇野市)の金管八重奏が出場する。3組とも1月の県大会(中学校45組、高校50組出場)で金賞を受賞し、各部門上位5枠の県代表に選ばれた。全国大会(3月19日、浜松市)進出を目指して気合が入る。
表現力豊かな音色を
鎌田中 クラリネット四重奏
演奏曲はフランスの作曲家ドゥファイの「オーディションのための6つの小品より」。不協和音に満ちた複雑な旋律や連符のかけ合いなど終始、高い技術が求められる難曲だ。夏の吹奏楽コンクールで全国大会を経験した2年生2人が1年生2人をサポートし、運指の難しいフレーズも諦めずに練習を重ねてきた。
暗譜で臨んだ県大会は、「これまでで一番いい演奏ができた」とパートリーダーの近藤優衣さん(2年)。一方で、細かい音の動きや強弱の抑揚、4人で同じ旋律を奏でるユニゾンの音程など課題も多く浮かび、「上を目指すにはまだまだ表現力が足りない」と練習に励む。
全国大会に進出するには東海大会(5県26組出場)で2位以上が必須条件。ソロを演奏する小澤怜奈さん(2年)は「表現力豊かな音色を響かせたい。応援してくれる仲間のためにも最高の演奏をし、人の心に響いて残る音楽を奏でたい」と意気込む。
音楽の喜び届けたい
梓川中 クラリネット六重奏

2年生4人と1年生2人がチームを組み、片岡寛晶さん作曲の「影」シリーズから第5作目「黎影(れいえい)」を演奏する。ドラマチックで時に破壊的なメロディーが特徴といい、低音のバスクラリネットから高音のエスクラリネットまで厚みのある音色を奏でる。
「みんな個性豊かで、最初は音も気持ちも全然そろわなかった」とリーダーの村松和香(のどか)さん(2年)。全員の気持ちを一つにするために行ったことは、本音で音楽とぶつかり合うこと。「もっとこうした方がいい」と思うことは学年に関係なく意見を出し合い、積極的に演奏に反映させるなど互いに技術と表現力を磨いてきた。
県大会は「結果を意識し過ぎて満足のいく演奏ができなかった」と村松さん。エスクラリネットを担当し、村松さんとチームを引っ張る大西心花(このか)さん(2年)は「東海大会はチームワークをより深め、演奏自体を楽しみたい。音楽の楽しさや喜びを観客に届けたい」と力を込める。
気持ち一つに全力で
豊科高 金管八重奏

トランペット、トロンボーン、チューバで構成する1、2年生8人。同校から8年ぶりの東海大会進出で、金管八重奏の出場は初。先輩たちが果たせなかった全国出場が目標だ。
演奏する曲は、16世紀後半に活躍したイタリアの作曲家ガブリエリの「第1旋法による8声のカンツォン」。教会音楽らしい荘厳で美しいハーモニーが特徴といい、チームリーダーの立石伊吹さん(2年)は「優しくて芯がある金管楽器の音の魅力を生かせる」と、選曲理由を話す。
一方で「曲が単調なので、音型(音のまとまり)の統一感を欠くと上手には聞こえず、そこはまだ足りない」とも。本番の広い会場を見越し、音を遠くに飛ばすことを意識し最終調整に励む。
コロナの第8波で練習機会の確保にも苦労した。部内で濃厚接触者が出て、予選の地区大会にも出られなかった他チームの仲間のためにも「全力を出し切り、必ず全国につなげたい」と8人は気持ちを一つにする。