
ヘアデザインだけでなく、健康な髪の毛作りからサポートできる美容師に-。開業18年目の「びようしつMOMO」(塩尻市長畝)を営む中村栄子さん(53)が、「髪育(かみいく)」に取り組み始めた。
長年髪を扱ううち「細くなってきた」「抜けるようになってきた」と悩みを聞くことが増え、パーマで量感を出すなどしてきた中村さん。しかし「根本的な解決にはならない。年齢だから仕方ない、でいいのか」とジレンマを感じていた。
そんな中で昨年5月に出合ったのが、一般社団法人髪育JAPAN協会の「髪育」だ。「自分がやりたいと感じていたことと一致している」と、7月から半年間の第1期養成講座を受講して資格を取り、今年「髪育専門士」として活動を始めた。
時間をかけて正しいケアを
高校卒業後、美容室で働きながら通信教育で美容師の資格を取得し、2006年2月、自宅敷地内に「びようしつMOMO」を開いた中村栄子さん。開店当初から店内に掲げるパネルには、「ヘアーそのものの美しさを大切にします」「お一人お一人のお髪が最も大切」などの文言がしたためられている。
そんな思いを込めながら、今ある髪にアプローチしていた。だが、「これから生えてくる髪の毛を元気に健康に育てれば、薄毛や抜け毛が解消される」と、髪を育てることに意識を転換したことで、「胸のつかえが取れた」という。「髪育」「髪育専門士」は髪育JAPAN協会が商標登録した言葉だ。
まずは「頭皮診断」。マイクロスコープで毛穴があるか、詰まっているか|など、現在の頭皮をスマホで一緒にチェックする。改善できる状態であれば、取り組みが始まる。
髪の毛が生える妨げになる頭皮の皮脂をクレンジングで取り除き、頭皮をもみほぐすマッサージをしてシャンプーをすることで、毛穴の奥まで育毛剤の成分が届くという。
来店時の施術だけでなく毎日行うことが大切なため、家でのやり方も指南する。ただし「初めは『頑張ろう』と思っても、毎日の繰り返しの中で自己流になったり、面倒になっていい加減になったりしがち」と中村さん。
そのため6カ月コースと1年コースを設定して期間中に数回来店してもらい、正しい方法でケアしているかどうか、変化があるかを確認しながら、メンテナンスを行う。
実は、本格的なスタートに入る前に「昨年から頭頂部などが薄くなってきた」と感じている50代の知人男性が「実験台」に立候補して、9月から髪育に取り組んでいる。2カ月くらいしてもあまり効果がないように感じていたというが、シャンプーの仕方が違っていたり、クレンジング液を「もったいない」と思って少な目に使ったりと、自己流になっていたことが判明。改めて取り組み方を変えたところ、昨年末ごろから抜け毛が減って、髪の質がピンとしてきたように感じているという。
「パーマはかけたくないが、ボリュームを出すためには仕方がない」「頭髪の悩みから鏡を見るのが嫌」という人は意外に多いといい、最近では新型コロナの後遺症で抜け毛に悩んでいるという声も聞く。
デリケートな問題だが、MOMOは中村さん以外の従業員がいない「一人サロン」で完全予約制なので、ゆっくり時間を取って相談しやすい隠れ家的な雰囲気もある。「深い悩みのサポートができれば」と話す中村さん。悩んでいる人を対象に、頭皮診断を月5人程度無料で行っていくという。びようしつMOMO TEL0263・53・2512