ライチョウへの思い込め 写真を基にジュエリーでコラボ

本物のライチョウは見たことがなくても、「何らかの形で保護活動に関わりたい」と思う人はいる。松本市中央2でジュエリー工房兼店舗「MASAKI AMSEI」を営む田島真樹さん(43)もそんな一人だ。
昨年6月、「雷鳥写真家」の高橋広平さん(45、安曇野市穂高)と出会ったことから一気に思いは現実化。13日、二人のコラボレーションジュエリーを発売し、売り上げの一部をライチョウの保護活動に寄付する。
高橋さんの写真を基に、大空を舞う雄のライチョウを模したペンダントトップで、当初7個を販売。今後も順次追加で製作する。

売り上げの一部を保護活動に

田島真樹さんは「ジュエリー職人」を自認し、経営する店「MASAKI AMSEI」(松本市中央2)の一部を工房にしてデザインから製作、販売までを手がける。オーダーメードが多いため、「一人一人の希望に耳を傾けることが楽しい」と言う。
もともと細かい仕事や物作りが好きで、「ジュエリーなら、自分の求めることができるのでは」と、23歳で今の道を歩み始めた。最初は作った品を知り合いの店やインターネットなどで販売していたが、2008年、塩尻市内に初めて自分の店を持ち、その後、松本市内の別の場所を経て19年8月、現在地に移った。

高橋広平さんは北海道苫小牧市生まれ。07年、日本アルプスで初めてライチョウに出合い、魅了された。以来、ライチョウを撮るために写真家となり、さまざまな姿をカメラに収めている。日本自然科学写真家協会会員。温暖化などでニホンライチョウが減っていくことを危惧し、県自然保護レンジャーにも加わっている。

飛翔する姿 忠実に再現

2人は昨年6月、共通の友人に紹介されて知り合った。田島さんはそれまで、客から山の稜線(りょうせん)をモチーフにしたデザインを求められることがしばしばあった。リングの内側にライチョウを彫ったこともある。高橋さんとの出会い後は、写真集を見たり、活動を聞いたりし、自分にもライチョウ保護のため何かできることはないか、との思いが強くなった。
田島さんの店のスタッフで、パートナーでもある座間美幸さん(45)も後押しした。鳥好きの座間さんにとって「ライチョウは憧れの鳥。できれば保護活動に役立ちたい」と田島さんに伝えた。
まずは高橋さんの写真を見てペンダントトップを作ることにした。選んだのは飛翔する姿。田島さんと座間さんは「ライチョウに飛べるイメージはあまりなかったけれど、高橋さんの写真の飛翔姿はとてもかっこいい。しっかり羽ばたいている」と口をそろえる。
高橋さんは、その姿を「雌と子どもたちを守るために、縄張りの見回りをする雄」と説明。飛ぶ日や空の様子を考えて訪れ、鳥の正面を捉えたという。

田島さんは「できるだけ忠実に写真を再現したつもり。羽の重なり具合には気を使った」と話す。出来上がったペンダントトップは最長部1・6センチほどで、品質はK10YG(金を42%含有する「10金」といわれるもの)。金額は折々の金相場によるが、3万円前後で、売り上げの一部を保護活動に役立てる。
同店TEL0263・50・9877