
発酵食で長寿県をより健康に
「信州みそはおいしくて個性があって、体に優しい発酵食品です」。東京などで食事会やイベントを開催し、信州みそを応援する発酵料理研究家がいる。川崎市在住の川村悠華さん(27)。生来悩んできた胃腸の弱さを改善できたことでみそに傾倒。松本市など県内のみそ蔵を回り、交流と知識を深めている。
みそと豆乳がベースのカルボナーラ、酢みそをかけたカツオのたたき、みそのドレッシングであえたレンコンと長芋のサラダ。これらは川村さんが1月、地元・川崎で開いたランチ会で出した手料理。参加者は「みそでこんな味をつくれるなんて」と驚きながら舌鼓を打った。
川村さんは「松本の石井味噌(みそ)さんと萬年(まんねん)屋さんのみそを使いました。いろいろな食材に合うし、胃腸の調子を整えてくれます」と説明した。
みそを食べて胃腸が丈夫に
信州みそにほれ込んでいる川村悠華さん。昨年11月には、東京にある長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」で信州みそ10蔵の「食べ比べ会」を開いた。都民ら18人を集め、「味や香りが違うみその中から好みのものを探すのが楽しかった」とこちらも好反響だった。「食べ比べ会」は3月5日と6月3日にも開催する予定だ。
奈良市出身。子どもの頃から胃腸が弱く、食事制限を強いられた。「微生物で健康にいい食品や薬を作りたい」と、大学や大学院で乳酸菌など健康に有益な微生物と発酵について学んだ。都内の大手食品会社に就職したが、発酵産業支援への思いが募り、半年前に独立。発酵料理研究家として活動を始めた。
みそに着目したのは、みそを欠かさず食べたおかげで胃腸が丈夫になったから。「胃腸が弱い人にもみその良さを伝えたい。それには一大産地の信州に行き、もっとみそを学ばなければ」と長野や上田、松本などのみそ蔵を見て回った。
松本での訪問先がともに老舗の石井味噌(埋橋1)と萬年屋(城東2)だった。「どちらも古来の製法と味をしっかり受け継いでいる」と感心した。みその消費減に伴う業界の苦難と奮闘も知り、「私なりの方法で信州みそをPRし、消費拡大に貢献しよう」とランチ会やイベントを開くようになった。
今後は「信州みそをはじめ、長野の発酵産業の振興に尽力し、長寿県のいっそうの健康増進に寄与できればと思います」と語る。石井味噌社長の石井康介さん(62)は「発酵の研究家でもある川村さんには、科学的な情報を基に信州みその魅力を発信してもらいたいです」と期待している。