【野遊びのススメ】#46 ワカサギ釣り

冬の楽しみ美鈴湖で初挑戦

冬のレジャー、ワカサギ釣り。釣り堀でしか釣り経験はないが、糸を垂らせば何匹も連なってかかるイメージがある。食べきれないほど釣れたらどうしよう―。そんな妄想を抱きつつ、松本市街地から近い美鈴湖(三才山)で挑戦してみた。

氷点下5度魚との駆け引き

釣り券を販売するウテナ荘に事前に聞くと、「朝6時半の入場開始から2時間ぐらいで釣果が決まる」とのこと。まだ薄暗い6時半すぎに到着し、レンタルした道具一式を持って桟橋へ。すでにテントを張り、糸を垂らす釣り人が何人もいる。
ウテナ荘でもらった冊子「ワカサギの釣り方」を見ながら、まずはさおに仕掛けをセット。重りをつるし、五つある針の先に餌を付ける。言葉にすると簡単だが、氷点下5度の中でこれをやるのは至難の業。
仕掛けは絡みやすいため、伸ばした状態にして8ミリほどのハエの幼虫「白サシ」を針に引っかける。その後、虫を3分の2切り落とす。体液で魚をおびき寄せるためだ。
着色してない虫は触れないかもと、ピンセットやビニール手袋を持ってきた。しかし、小さ過ぎて素手でないと針に刺せない(泣)。幸い寒さで虫はほとんど動かず、白い干しエビだと思って付けた。
湖面に張った氷を近くに置いてある棒でつついて割り、仕掛けを投入する。ワカサギは湖底にいるらしく、底までいったん重りを下ろし、10センチくらい引き上げたところで上下に3回揺らして誘い、3秒止めて当たりを待つ|を繰り返す。魚が食いついたら、素早くさおを15センチほど上げて「合わせ」をするが、当たる気配がまるでない。
新鮮な餌でないと食べないため、10分に1回交換しながら1時間ほど粘った。「ここに魚はいない」と確信するくらい変化がなかったが、同じ桟橋の釣り人たちは皆釣れている。やはり腕の違いか…。
見かねて声をかけてくれた奥山克巳さん(69、同市中山)が、「これでやってみて」と電動リールを貸してくれた。こつを教えてもらいながら再度挑戦。
すると、わずかにピクピクとさおの先端が動いた。「来た!」と慌てて糸を巻いたが逃げられた。初めての当たりに「合わせ」をするのを忘れた。
諦めずもう一度、誘いながら待つ。釣るか逃げるか、見えない魚との駆け引き。再び「来た!」。ちょっとさおを上げてから糸を巻く。湖面からワカサギが1匹。ようやく出合えた。
「釣れました。ありがとうございます」と喜んで奥山さんに報告していると、ポチャンの音。魚は仕掛けから外れて湖の中へ…。その後、もう1匹釣れたが、バケツに入れる前に落としてしまい、結局釣果ゼロに終わった。
ウテナ荘の松島正人さん(74)によると、「根気よく餌を替えてまめにさおを振り、うまく合わせられるかが鍵」という。想像以上に難しかったが、もう一回挑戦して家族に天ぷらを出せるくらい釣ってみたい。【隔週水曜掲載】

【美鈴湖のワカサギ釣り】午前6時半~午後3時。釣り券1000円、小学生・付添人500円。釣りざおレンタルセット2000円と2500円の2種類。ドーム桟橋(別途1人2500円)もある。ウテナ荘TEL0263・46・0866