
工芸品の魅力に触れる催し「民の工藝─木曽・松本の木工文化から侘(わ)び茶へ─」が19日、松本市深志3の全久院で開かれる。鼎談(ていだん)や「へぎ板」の製作実演、喫茶会を通し、地域の伝統工芸の歴史や新たな取り組みを体験する。鼎談は、全久院住職の倉科利行さん、丸嘉(まるよし)小坂漆器店社長の小坂玲央さん(塩尻市木曽平沢)、工芸デザイナーの井出八州(やしま)さん(松本市里山辺)、高野竹工取締役の西田隼人さん(京都府)が登壇。
素手で木を薄く剥がした木曽谷の木工技術のへぎ板が、千利休の作とされる国宝の茶室「待庵(たいあん)」(京都府)の屋根材修復時に使われ、現在はその古材で茶道具が作られているなど、木工と侘び茶との関わりなどについて語る。
小坂さんによるへぎ板の製作実演や、井出さんがデザインした「待庵野点珈琲(のだてこーひー)箱」など古材を活用した茶道具を体験し、作り手と交流する喫茶席も。工芸品の展示販売もある。
催しは、社寺の廃材などで工芸品を作り付加価値を生む「アップサイクル」で、社寺や伝統工芸の保全を目指そうと本年度発足した「アニュラスプロジェクト」が企画。松本では初開催だ。
井出さんは「アップサイクルした製品にある物語の面白さを知って」、小坂さんは「へぎ板の技術は木曽漆器の原点。伝統技術の価値を再認識するきっかけになれば」と話す。
午後1時から鼎談、喫茶は2時半~4時半。参加費3800円(鼎談のみオンライン参加も可。参加費1500円)。申し込みはウェブサイト=こちら=から。問い合わせはプロジェクト運営事務局の高野竹工TEL075・955・2868