
「お見事です」「うまいなぁ」。好プレーに歓声と拍手が起こる。松本市横田の南郷福祉ひろばで体感型テレビゲームに熱中するのは、主に70~80代でつくるサークル「男性の百趣会」。名前の通りさまざまな活動に取り組み、発足から10年を迎えた。互いの興味や意欲を尊重しながら生き生きと社会参加し、第2の人生を謳歌している。
3日は「eスポーツ体験」と題し、体感型のスポーツゲームをプレー。コントローラーをボールやラケットに見立てて動かし、ボウリングやゴルフ、テニスなどを楽しんだ。
同ひろばで昨年12月に開いた体験講座に参加したメンバーがゲーム挑戦を提案。提案者の一人の品澤吉寛さん(77)は「とてもリアルで驚いた。ぜひみんなでやってみたいと思った」。ボウリングに興じた南山道男さん(78)は「操作が難しかったが、昔を思い出して楽しめた。重いボールを持たなくてもできるのがいいですね」と笑顔を見せた。
現在メンバーは14人で、月1回活動。ソバ栽培に料理教室、史跡巡り、工場見学、模型飛行機作りなど、内容は多彩だ。
発足のきっかけは、男性の福祉ひろば利用を増やそうと、コーディネーターの久保田利恵さん(62)ら職員が、利用者や地域の人にどんな活動をしたいかアンケートをしたこと。調査に応じた人たちで結成し2013年9月、そば打ち体験をしたのが始まりだ。
久保田さんは「こちら(ひろば)で活動内容を決めるのではなく、利用者に好きなことをやってもらうのが大事だと思った」と振り返る。
その精神は今も続く。誰かの案を否定せず「みんなで面白がって乗っかることで、思ってもみなかった経験ができる」「自分の興味も広がる」と好循環を強調する声が、メンバーから聞かれる。
原賢次会長(72)は「この姿勢が、サークルとして長続きする秘訣では。今後もそこだけは崩さずに活動していきたい」と話す。