ソムリエ協会 最上位試験に合格

ワインカフェSarto(サルト) 木下真奈美さん 松本市

日本ソムリエ協会のワイン呼称資格認定試験の最上位「ソムリエ・エクセレンス(旧名・シニアソムリエ)」。松本市大手2「ワインカフェSarto(サルト)」を営む木下真奈美さん(53)が、本年度合格した。同協会によると合格者は全国で24人、うち女性は5人だ。
ソムリエとして12年間、店での接客や後進の指導、ワインイベントのスタッフなど、幅広く活動してきた。接客中のワインアドバイスにも定評がある。
他業界から転職しイタリア料理店に勤め始めた頃は、ワインをあまり知らなかった。周囲に刺激を受け勉強を始め、ソムリエ、ソムリエ・エクセレンスへと上を目指してきた。
得たスキルを生かし、今後は消費者や有資格者、造り手をつなげ、「ワイン産地の底上げに貢献したい」と決意を新たにしている。

銀行員から転職 姉妹の店を開く

「ワインカフェSarto(サルト)」(松本市大手2)には、ワイン愛好者やブドウ栽培者、ワインの造り手などさまざまな人が訪れる。ワインを囲んで弾む会話に笑顔を見せながら「ワインは食事を楽しくする飲み物。ブドウ品種を少し知るだけで世界が広がる。その魅力を伝えていけたら」と木下真奈美さん。
押しつけでなく会話の中にさりげなく盛り込むワイン話。資格試験を経て「奥深い知識を得て最新情報にも敏感になった。それをお客さんに伝えられるのがうれしい」。
銀行員から飲食業へ転職したのが17年前。料理上手の妹・山村千鶴さんと飲食店を開くのが夢だった。当時、ワインは詳しくなかったが、働いたイタリア料理店のオーナーがソムリエで影響を受けた。2010年にソムリエ試験に合格した。
18年6月、念願だった姉妹の店「ワインカフェSarto」を開いた。ワイン講座も開き、受講生が呼称資格認定試験に合格するようになり、「自分もランクアップしていきたい」とソムリエ・エクセレンス挑戦を決意した。
ソムリエ・エクセレンスは旧名シニアソムリエ。世界で通用するソムリエを目標に19年度から名称が変わり試験の難易度も上がった。筆記、テイスティング、実技の3段階で試され、本年度は全国で197人が受検し合格者は24人、合格率は12%ほどだ。

2回目の挑戦 合間に猛勉強

木下さんは21年度に続き2回目の挑戦。仕事の合間を縫って猛勉強し、大好きなワインも仕事と勉強での試飲以外は飲まず、愛犬の散歩時にもイヤホンで知識を覚えるなど徹底した。
どんなに勉強しても成果が見えずつらい時もあったが、受検仲間と勉強会を開くなどしてモチベーションを維持。合格は「努力が報われてうれしかった。お世話になった人への感謝と同時に、今後は一層の努力が必要という思いが湧き、身が引き締まった」という。
木下さんと共に同資格を目指したのが酒販店・山﨑※精一商店(松本市元町1)の山﨑※祥乃さん。ワインのセミナーや試飲会に一緒に参加するソムリエ仲間で、21年度に合格した。
ワイナリーが増え、ソムリエの有資格者も多い県内。「合格したらワインの底上げのために、新しい事を始めよう」と話していた2人。今後はワイン業界の人を対象に、研究会のようなものを立ち上げる予定だ。「(木下さんは)有言実行の人。切磋琢磨(せっさたくま)し合っていきたい」と山﨑※さん。
ワイン産地のソムリエ・エクセレンスとして、「さまざまなテーマで研究会を企画し、情報を発信したり、業界のつながりをつくったりしていければ」と木下さん。食事を楽しむワイン、地域を盛り上げるワイン。両方の可能性を広げていく。

※崎の大が立の下の横棒