ダムで水没した村の映画上映へ

徳山ダム(岐阜県揖斐川町)建設のため水に沈んだ旧徳山村の人々の暮らしを追ったドキュメンタリー映画「水になった村」の自主上映会が3月12日、松本市四賀支所ピナスホールで開かれる。企画した木工作家・梅川尚茂さん(70、中川)は、「映画に人間の原点が見える」と話す。
徳山村の住民約1600人は移転地へ引っ越したが、村がなくなるまでできる限り暮らしたいと、数家族の老人たちが街から戻ってきた。監督の写真家・大西暢夫さんは、楽しそうに自給自足する人々を15年間、東京から通って撮影した。
梅川さんは公開された2007年に鑑賞し、老人たちの生き生きとした姿に感動した。「生活することは食べること。人は畑を耕したり山菜を採ったりと、地に根差している時が幸せだと思った。自分が暮らす四賀地区の人々と通じるものがある」。いつか上映会を─と思っていたところ、大西監督とつてがある人と知り合い、実現した。
25年前に四賀へ引っ越してきた梅川さんは、鑑賞と時を同じくして米や大豆など多くの食材を自給自足し始め、改めて徳山村の暮らしに共感した。映画ではおばあさんが巨大なおはぎを作ったり、マムシをさばいて焼いたりと食にまつわる場面が多い。「とにかくバイタリティーにあふれている。信じられないくらい元気なじじばばが、ピカピカに輝いていてかっこいい」
午後2時から。92分。1200円。上映後、大西監督のトーク。会場では地元の店による飲食やわら細工の販売も。問い合わせは梅川さんTEL0263・64・3917