【記者兼農家のUターンto農】#90 水田の雑草対策

水ぬるむ時季、田植え後の雑草対策ビジネスが動き出している。農業ベンチャー、ハタケホットケ(塩尻市大門八番町)のロボット、ミズニゴールが実用化に向かっている。
田んぼの泥をかいて水を濁らせ、雑草の光合成を阻む|。無農薬のアイガモ農法でアイガモが担う働きだ。それを目の粗いブラシを付けた三輪ロボットが行う。無線操縦で田んぼ中を動き回り、泥と一緒に雑草の芽もかいてしまう。
昨年、実証実験を行った。本紙で「自然農奮闘記」を連載している中村小太郎さんも参加し、「ちょっと驚く効果」とつづった。
手応えを得た同社は、モーターを改良し、衛星利用測位システム(GPS)搭載の自動運転型をラインアップに加えて、レンタル事業に乗り出す。
2月にオンライン説明会を開くと、2回で全国から70ほどの個人農家、法人が参加した。「試したい」「見学したい」という声が相次いだ。
ただ、中には他のロボットを検討中という人も。ライバルはアイガモロボ。大手の井関農機(松山市)の製品だ。
大手品との優劣は分からないが、ハタケホットケの説明には、性能以外で興味を引かれることがあった。
ミズニゴール導入の大きな障害はコストだ。1シーズンで無線操縦型は20万円、GPS型で30万円かかる。そこで、同社は小規模農家が地域でシェアする仕組みも提案する。さらに、利用者が作った米を高価格で販売する流通網づくりにも取り組んでいるという。
同社は単なるメーカーではなさそうだ。有機農、自然農を広めたいという思いが根っこにある。雑草が生えない土作りも勉強しているという。「ミズニゴールを卒業する(いらなくする)のが目標」と、製品を売り込むはずの説明会で日吉有為社長は語った。
理念ファーストで大手を相手に全国に打って出る地元ベンチャーは、3月に追加のオンライン説明会を開く。

ハタケホットケのウェブサイト