
公民館で遺影撮ります─。松川村地域おこし協力隊の松本寿治さん(39)と寺口純平さん(43)が、住民の遺影用写真を撮影する企画「遺影でYeah(イエーイ)!!」を2月10日、村すずの音ホールで開いた。村公民館が共催。協力隊員が特技を生かし、人生を締めくくるための「終活」を、前向きに進められるよう後押しした。
村公民館などが2月3~5日に開いた終活がテーマの映画上映会時に来場者に呼びかけ、参加費500円で予約を受け付けた。当日は村内外の20人が参加。施設の一室にストロボなどを持ち込み作ったスタジオで、その人らしさが伝わる写真を撮影した。
撮影時間は1人12分。シャッターを切るのは全国紙の写真記者だった寺口さんだ。ディレクターを務めた松本さんは参加者の体の角度、ちょっとした服装の乱れなどを調整。「いいね、すてき!」「(表情が)柔らかいね」。対話しながらベストな表情を引き出し、本人が気に入ったショットを選んだ。
遺影の準備を含めて終活への意識が高まる一方で、自らの死に関連するナイーブなテーマでもある活動だ。関心があっても、具体的な取り組みを始められない人も多い。二人は「踏み込む勇気を持って足を運んだ参加者の気持ちに、寄り添えるようにしたい」と、当人の希望を聞きながら、和やかな雰囲気で撮影を進めた。
スーツ姿で撮影に臨んだ同村の百瀬佐武郎さん(78)は「終活を少しずつ進めており、できることはやっておきたい。気に入った写真が遺影になるのはいい」と喜び、企画を歓迎。寺口さんは「たくさんの笑顔が見られ、自分の特技で喜んでもらえて、充実した時間だった」。松本さんは「協力隊員が好きなことや特技で力を合わせ、今後も多彩な取り組みが広がっていけばいい」と話した。
許可を得た写真を集めた写真展は、今月下旬から同ホールで開かれる寺口さんの個展と同時開催予定だ。