松本で英語教室20年 カナダ出身のデービッドさん

認可外保育所として建てられたカラフルな建物に響く子どもたちの声は、ほぼ英語だ。松本市庄内2の英語教室「メイプルキッズイングリッシュ」は、カナダ出身の校長デービッド・ジョン・グレイさん(55)が開校し、昨年9月で20年の節目を迎えた。「英語を教えるだけでなく、丸ごと人育てのお手伝いができればうれしい」との思いで、今日も子どもたちと接している。
欧米以外の文化に身を浸してみたいと思っていたデービッドさんは、カナダで教員免許を取得、日本の商社に勤めていた兄の影響で1993年、上田市の中学校に外国語指導助手(ALT)として赴任した。その後は東北信で教えたり、長野冬季五輪ボランティアの英語指導をしたり。松本市出身で英語教諭だった恵美さんと知り合い96年に結婚した。
98年に帰国したが、2002年に恵美さんの実家がある松本市に再来日。99年に長女の恵里嘉さんが生まれ、家族との時間を持ちたいと、自宅で英語教室を始めた。現在の建物を借りて移ったのは、15年ほど前だ。「松本は大きすぎず小さすぎず、暮らしやすい町。自然と文化が程よく溶け合う雰囲気もいい」と話す。
教室には現在、中学生以下の35人ほどが市内外から通う。キリスト教の教えを「より良く生きるための指針」とし、礼儀や思いやりを身に付けるような活動も大事にする。
例えばクリスマスには、教室でお楽しみ会を開くほか、近くのサービス付き高齢者住宅を訪れ、英語劇や合唱をプレゼント。コロナ禍以降は手作りのクリスマスカードを贈り、交流を続けている。
恵里嘉さんの長女・月寧愛(るなあ)ちゃんは、5月で2歳になる。「孫が、教室を始めた頃の娘と同じくらいになった。20年というのはそういう時間です」。デービッドさんは感慨深げに振り返る。
「小学校での英語必修化など、学びを巡る社会状況は変わっているが、楽しく英語に親しんでもらう教室の役割は変わらない」と今後への意欲を燃やす。