両親の食堂の名で再出発 お好み焼き店「冨久福」オープン

木曽町福島の木下啓一さん(78)と妻の泰子さん(81)が、自宅の一角にお好み焼き店「冨久福(ふくふく)」をオープンした。夫婦は昨年10月末、町内で約50年営んだスナックを閉じたが、「やっぱり商売が好き」と、かつて木下さんの両親が営んだ食堂の店名に導かれ、再出発した。
JR木曽福島駅から徒歩7~8分の旧国道沿いにあり、4人掛けのテーブル席が二つの小さな店。客が鉄板で焼くスタイルで、お好み焼きの「もち・チーズ玉」(950円)と「ミックス焼きそば」(同)が人気だ。
42年前まで食堂「冨久福」だった場所で、店は木下さんの父親が亡くなって閉じ、夫婦の住居に。2年前には母の美代子さんも99歳で亡くなった。
木下さんがスナック「サンマリノ」閉店後に自宅の押し入れを整理していると、持ち帰りの五平もちをくるむ、食堂の包装紙が出てきた。初めて見る小粋なロゴデザインに心を動かされ、「両親の食堂と同じ店名で、もう一度店をやる」と決めた。
夫婦で無理なくできる商売をと、名古屋出身の泰子さんが若い頃によく食べた、お好み焼きの店を開いて1カ月余り。町内の野球チームで長年、監督を務めた木下さんを慕う客も多く、リピーターも増えてきた。
「『おいしい』という言葉がやりがい。それを信じてやっていきたい」と泰子さん。すでにほとんどの人は、店名の由来を知らないというが、木下さんは「ほんの少しでも親孝行になれば」。
営業は午後5~10時。日曜定休。TEL0264・22・2281