仕事通じた気分転換で子育ての悩み軽く―「麻と香織と…」が働き方提案

気持ちにゆとり家庭も明るく

孤立、焦り…。子育て期間中は、仕事から離れた母親が、環境にとまどい負の感情を抱きやすい。自分のペースで稼ぎ、ゆっくり話ができる場「のんびりゆめ子育て」を提唱するのは、麻布(亜麻)ナプキンなど麻製品製造販売の「麻と香織と…」だ。
「麻―」を運営する「AUWA(アウワ)」(松本市浅間温泉3)が開くサロンで話題だった、子育て中の悩みを解決しようという試みだ。麻布ナプキンを作る生地をカットするのが仕事。ノルマや時間の制限はない。母親同士話す場、子どもが遊ぶ場、心にゆとりができる場など、一石三鳥、四鳥にもできる。
「AUWA」代表・高橋可桜吏(かおり)さん(42、安曇野市穂高)は「移住者も多い。友人をつくる場になれば」と期待する。

働き方は自由友達づくりも

2月18日午前10時半~午後2時。「のんびりゆめ子育て」のプレ開催日だ。場所は「skateboard&ECOshop(スケートボード&エコショップ)ハカルAZUMINO」(安曇野市豊科)だ。10時半を過ぎると、1人、また1人と参加者が集まってくる。
仕事は、麻布ナプキンを作る生地を切ることだ。主催する「麻と香織と…」を運営する「AUWA」のスタッフ、山下千尋さん(40、安曇野市三郷温)がカットの仕方を教える。託児もあるので、小さな子連れでもOK。小学生の子どもは、母と一緒に作業に関わる。
「移住してきて友達がいない」「時間に縛られず仕事ができたら」「夫の働いたお金でマッサージに行きづらい」―。「AUWA」の代表、高橋可桜吏さんが、発酵よもぎ蒸し(体を温める民間療法)などを行うサロン「詩おり」に来る母親から聞いた悩みだ。そうした状況を少しでも改善できればと10日、本格的にスタートする。
麻布ナプキンの生地のカットの報酬は1枚40円。ノルマはなく、出社時間も退社時間も決まっていない。開催日の好きな時間に来て、好きなだけ仕事をする。仕事に集中してもいいし、母親同士話してもいいという、心地のいい緩やかな場だ。
お茶会だけだと、そういう場が苦手な人にはハードルが高い。「働くという目的があれば出てきやすい。自分で稼ぐこと、たとえ500円でも自分の稼いだお金で好きなものが買えれば、きっと心が豊かになる。時間とお金の使い方、お金の稼ぎ方、母親の働き方についての一つの提案」と高橋さん。

みんなで子育て新しいスタイル

核家族化が進み、転勤・移住で、知っている人も少ない。そんな環境での子育ては、母親が孤立しがちだ。子どもと一日中2人だけだと息が詰まる。社会から隔離されたようで、焦りや不安もある。「『のんびりゆめ子育て』は、1人ではなくみんなで育児をする、古くて新しいスタイル」と高橋さん。
麻布ナプキンを作っているのは高齢の女性が多い。もう少し働きたいという母親がいれば、お年寄りの技術を継承する場をつくるという。母親世代と話したり、子どもと遊んだりといった異世代交流も考え、高齢者の孤独解消にも役立てる。
「母親の気持ちにゆとりができることで、家庭が変わる」と高橋さん。麻布ナプキン作りを通し、性教育、環境を考える機会にもつなげたいという。
開催は10日、4月13、14日午前10時半~午後2時。詩おりTEL0263・87・6039。有料託児は要相談。