
松本の民芸運動をけん引した型絵染作家・三代澤本寿(もとじゅ)さん(1909~2002年)の作品を常設展示するギャラリー三代澤(松本市中央2)が3月16日、オープンから満3年を迎える。三代澤作品を顕彰する団体「m.motoju会」は16~19日、同ギャラリーで記念の特別企画を行う。5月には市美術館で作品展を予定し「三代澤を知ってもらう機会にしたい」という。
ギャラリーは季節に合わせて展示替えを行っている。現在は染絵の「モスク」「マリア」、のれんの「杉」など約20点を展示している。特別企画の期間中は入館無料(通常は200円、中学生以下は無料)。
これに合わせ、同会は3年間のあゆみを冊子(A5判、10ページ)にし、運営の成果や今後の課題などをまとめた。入館者は初年度(20年3~21年2月)が約4500人、2年度が約6000人、3年度(23年2月まで)は6100人余。コロナ下にもかかわらず、多くの人が訪れたとしている。
会長の三代澤保水(やすみ)さん(75、同市埋橋2)は「三代澤(義父)が残した作品はすごい。地方都市の松本でなぜ、民芸が根付き、育ってきたのか、多くの人に関心を持っていただきたい」と話す。
ギャラリーのある建物は1907(明治40)年の建築。2017年までカレー店「デリー」として親しまれ、19年には市登録文化財の第1号に指定された。山梨県で菓子の製造・卸を行う会社の経営者が三代澤家から譲り受け、20年に1階を同社のアンテナショップ「壱(いち)の蔵」、2階をギャラリー三代澤として再出発した。