ピアノで脳を活性化 望月さん考案シニア向けの教室

ピアノで懐かしい曲を弾き、手指のリズム体操なども取り入れて脳を活性化し、認知症予防に役立てようという、松本発祥の60代以上向けの教室「ピアノde脳活」が広がりをみせている。日本ピアノレスナーアカデミー(松本市並柳)代表理事の望月玲子さん(63)が考案した、音楽に特化した独自の脳活プログラム。新たな生きがいづくりにもつながるというピアノレッスンとは?

松本で発足し全国に広がる

「ピアノde脳活」は、大人向けの教室「実年ピアノを楽しむ会」を同市で20年前に発足した望月さんが、グループレッスン形式で脳トレのプログラムを取り入れ、2016年に開講したのが始まり。
県内には20市町村に会場があり、50~90代の約400人の生徒がいる。さらに全国の認定講師は70人を超え、17都道府県に広がっている。
「ピアノを弾いてみたいが、教室は敷居が高い」という人にも気軽に音楽に親しんでもらいたいと、県内では会場に公民館などの公共施設を利用するなどの工夫をしている。
また、ピアノを弾いたことがなく、楽譜が読めない初心者のためには、鍵盤に指番号を振り、楽譜に書いてある番号を見ながら弾くことができるよう配慮。初めは「たなばたさま」「ジングルベル」など親しみやすい童謡や唱歌から、季節に合った曲などを選び、片手で弾いて講師や仲間とアンサンブルを奏でたり、両手で弾けるよう練習したりする。
曲を弾くだけでなく、声に出して音符を読んだり、歌いながら両手を交互に動かす体操や、リズムに合わせ手をたたきながら言葉を並び替えたり、カードに書かれた絵や数字を記憶したりするなどの、さまざまな脳トレも取り入れている。

仲間と楽しみ生きがいにも

ピアノ演奏は▽全ての指を使い、左右異なる動きをする▽楽譜を読み、音やリズムを理解する▽目で音符を追い、手の動きより先読みをしたものを脳が記憶し、情報化して指を動かす▽足でペダルを踏む-といった複数の異なる動作を同時に行う特徴があるため、脳の活性化に効果が期待できる。
また、音楽に触れて心を癒やすほか、好きな曲が弾けるようになる喜びが生きがいにつながり、同じ趣味を持つ仲間づくりもできるという。
同市並柳の教室に通う宮林孝子さん(80)は、娘のために買ったグランドピアノが家にあるが、「自分は習わなかったので、挑戦したかった」と、昨年6月から始めた。特にグループレッスンは練習の励みになり、生活にも張りが出たという。「孫の結婚式でピアノを弾く」という、すてきな目標を立て鍵盤と向き合っている。
教室は月2回で1回60分。発表会や食事会、旅行など、仲間と楽しむイベントもある。
望月さんは「音楽に親しみながら、普段の生活ではやらないことをして脳を活性化できる。定期的に通い、無理なく楽しく続けてほしい」と話す。
問い合わせ、望月音楽教室TEL0263・26・9584