シングルマザー向けライフキャリアデザイン

社会変化に合わせ前向きに

「人生100年時代」。人生の目的を長期的な視点で見詰め、時代の変化に応じて自分らしく生きるにはどういう「キャリア」を積めばいいのか?多くの人が悩む問題だ。特に女性にとっての「キャリア形成」は、まだまだ制約が多く、シングルマザーとなればなおさらだ。記者もそう感じる一人。松本市の女性センターパレア松本(中央1)で10日に開かれた、こうした女性たち向けの講座「ライフキャリアデザインセミナー」に参加し、アドバイスなどを聞いた。
講師は女性のためのライフ・キャリアなどのカウンセリングを行っているハルニレ相談室(東京都)代表の丸山裕代さん。
丸山さん自身が、何のキャリアもないところから少しずつ自分のできることを増やしていき、キャリアとして積み上げた経験から、「キャリア形成はいつからでもできる」と強調。
地域活動や介護、子育て、結婚など、日常生活を送るうえで起きうることは「キャリアそのもの」。さまざまな経験をすることは、特定の業種や職種、時代背景にとらわれず、どんな環境でも生かすことができる汎用(はんよう)性の高いスキル「ポータブルスキル」になる。
例えば、子育ては他者理解力や傾聴力を養うほか、生活の中での判断力や自己決定力、責任感なども生まれる。その多くを自分自身でやらなければならない一人親は「たくさんの強みにあふれています」と、何事も前向きに捉えることを勧めた。
一人親の新たなキャリア形成をするターニングポイントの時期は、幼児期や小学校入学、受験など、子どものライフイベントとは重ならないようにするのがよく、一緒になると互いにストレスを感じてしまう可能性があるという。

コロナ禍でさまざまな変化があった。現代は、曖昧性や不確実性が高まり、「どんな働き方をしたらよいのか、自分はどのように働きたいか」を主体的に考えていかないといけない。
キャリアそのものの考え方も、時代とともに変化している=表1参照。今後は個人が主体となり、一つではなく、幾つもの可能性を広げていく働き方「複業」が主流となる。
そのために必要なのは「自分がどうありたいか」という「自分軸」を実現する5つのスキル=表2参照=で、それらを身に付けて「その先をどうするかを見据えることが大切」とする。
また、社会の変化に応じながら、日頃から心がけることで、自分を変え、成長することができる「プロティアンキャリア」=表3参照=がある。「自分株式会社」だとして、キャリア資本を少しずつ増やしていくことで魅力的な自分になれる。資本はプロティアンキャリアを積み重ね、身に付けること。特別なスキルはいらず、明日からでも取り組める。
丸山さんは「できそうなことから、少しずつやることで、考え方が外向きになったり、出会う人たちがこれまでとは違ったりといった変化があります」とアドバイスした。