外国出身のママパパ4人に聞く─第2弾 日本の子育て 海外との違い

2月に「外国出身のママパパに聞く日本の子育て海外との違い」を掲載したところ、多くの反響がありました。そこで第2弾として、他の国の方にも話を聞きました。

【オーストラリアは】
宿題なく自由時間多い

★アンドリュー・ウィリスさん(松本市、オーストラリア出身)。日本で暮らすのは2回目で通算8年。家族は日本人の妻、中学1年の長男(13)。長男は5歳までオーストラリア、9歳までフランスで育った

最初の来日で気付いた大きな違いは、日本では小さな子どもでも自分で学校へ通っていることです。オーストラリアでは小学生なら必ず大人が車か自転車で送迎するか、一緒に歩いて付き添い、中学からは専用のスクールバスを利用します。
小学校はだいたい午前9時~午後3時、宿題も塾もありません。だから自由な時間がたくさんあります。近頃は日本の公文(くもん)式教育が人気のようです。学校には給食の代わりにランチボックス(日本の弁当よりシンプル)を持参し、好きな場所で食べます。就寝時間は日本の子どもたちより早いです。
息子が日本の学校に通うようになり、マナーや習慣、社会性なども教わっていることを知りました。母国では家庭で学ぶものと考えられています。というのもオーストラリアは多文化社会で、さまざまな文化的背景を持つ子どもたちが一緒に学んでいるからです。
日本の学校で良いと思うのは、小さい頃から給食を食べているので食べ物の好き嫌いが非常に少ないことと、学校の掃除(トイレまで)を自分たちでして、みんなで使う場所を清潔にする心が養われていることです。それもあってか公共の場もとてもきれいです。

【ニュージーランドは】
家族との時間を大切に

★オーレアリー・ジェイソンさん(松本市、ニュージーランド出身)。2007年に来日。日本人の妻、長女(5)、長男(1)と暮らす

ニュージーランドは5~11歳が小学校、11~13歳が中学校、13~18歳が高校に通います。娘はいま保育園の年中クラスですが、母国にいる同い年のいとこは小学1年生でアルファベットを習っています。日本は保育園で集団生活や礼儀などが学べるところがいいと思います。
義務教育は15歳まで。15歳になって親の許可を得られれば、高校を途中でやめることもできます。通学は歩きか自転車です。16歳から免許が取れるので、バイクや車でも通学できます。給食は小学校からなく、ランチボックスを持っていく子もいれば、学校でパンなどを注文する子もいます。高校だと車やバイクで外食する子もいます。
クラブ活動はラグビー、クリケット、野球、サッカーなどがあり、一番人気はネットボールです。バスケットボールに似ていますが、ドリブルはできず、板がないリングのみのゴールにシュートし得点を競うスポーツです。
店の多くは午後5~6時に閉まり、親も仕事から帰宅する時間がその頃です。夜はテレビを見たり話をしたりと家族との時間を大切にします。子どもも塾などで夜まで出歩くことはほとんどありません。誕生日パーティーは盛大にやります。家族だけでなく友達家族も呼びます。
大人が楽しむ行事などでは、ベビーシッターを頼むのも日本と違うかもしれません。

【中国は】
学歴重視 習い事で多忙

★小坂明蘭(めいらん)さん(安曇野市、中国出身)。2002年来日。日本人の夫と小学6年の長男(12)、3年の次男(9)、1年の長女(7)と暮らす

私が育った遼寧省撫順市は、中信地区でいうと塩尻や安曇野市のような所。でも都市化していて都会という感じです。大人は忙しく働き、親は共働きがほとんど。子どもに対して将来の期待や教育のためのお金をかけることは一般的で、子どもたちは習い事や塾で忙しい日々を送っています。
学歴は日本より重視され、一通りの経験をさせたいと思う親が多いです。水泳、ピアノ、英語などが人気で、1日に二つ以上はしごする場合も。送迎などは祖父母も巻き込み、チームになって子どもをサポートしています。
私の家は韓国にルーツを持ち、毎年秋には親戚4家族でキムチ作りをしました。子どもも手伝います。長野に来た時に、野沢菜漬けと同じだなと思いました。中国ではお正月や家族の集まりには、ギョーザを皮から作って食べます。母親だけでなく家族みんなで準備してわいわいと食べる、それが楽しかったです。
中国の子どもたちはプレッシャーを感じて生きている気がします。勉強も習い事もみんなが頑張っているから自分も|という感じ。だから自己主張もきちんとします。仲良くするために我慢するのではなく、お互いに意見を言い合って解決していきます。日本人は遠慮がちだなと思う一方、ゆとりを持って生きているようにも感じます。

【カナダは】
自分で調べ考える学び

★コワル・ニコラス・フランクさん(白馬村、カナダ出身)。1995、98年と短期で日本に住み、2000年に移住。日本人の妻、高校1年の長女(16)、中学2年の双子の長男、次女(14)と暮らす

カナダの義務教育は小学校から高校まで12年間です。システムは州ごとに違いますが、出身のトロントだと小学校は1~6年生、中学は7、8年生、高校が9~12年生です。徒歩や自転車で通学する子どももいますが、スクールバスもあります。
教育の違いで感じるのは、日本の授業は全員が同じレベルを目指して、一律に同じことを学んでいることです。カナダは高校まで受験がなく、ほとんどの子どもが自分の学区にある学校へ通います。受験勉強はなく、自分で調べたり考えたりする学びが中心。みんなと一緒ではなく、違う考えがあっていいという教育です。とはいえ義務教育中でも留年はあります。
タブレットを使った授業も日本より早く取り組んでいます。親は子育ても自分のキャリアも大事にし、共働き家庭も多いです。
日本の教育でいいと思うところは、人のことを考えて行動する大切さを教えてくれることです。子どもと話していると、気遣いをする心が育っているなと感じます。部活や体育の授業で体を動かすことが多いのもいいと思います。