元レストランを子ども食堂に

松本市新村の国道158号沿いで長年親しまれたレストランが、子ども食堂として生まれ変わった。地元の主婦、下里かおりさん(43)が3月22日から始めた「信州みんなの食堂」だ。レストラン跡を居抜きで使う子ども食堂は珍しい。料理人一家の下里さんの家族が調理を担い、味も本格派。市内西部での子ども食堂は初となる。誰もが利用できる交流の場にと、一歩を踏み出した。
食堂に入ると、この日のメニュー、から揚げのおいしそうな匂いが漂ってきた。下里さんが丁寧に声をかけながら料理を運ぶ。春休みの昼食に訪れた小林大地君(12、山形村)は「から揚げがサクサクでおいしかった。普段嫌いな野菜も全部食べた」と満足げ。父親も「学校とは違う居場所が増えるのは貴重。親の帰りが遅い家庭にも、子ども食堂は利用価値がある」と今後に期待を寄せた。
下里さんは6、10、13歳の3人の子を育てる。以前から自宅を訪れる子どもの友人らに手作りおやつを振る舞っていた。自身の子に行き渋りがあり、周りにもコロナ禍で学校に行けなくなった子が増え、学校や家以外に子どもが過ごせる居場所づくりを模索していた。
そんな折、35年間続いた近所のレストラン「あんだんて」が閉店すると知り、一念発起。地主に相談し建物を借りた。席数を減らし、キッズスペースや授乳もできる個室、おもちゃなどをそろえた。
メニューは日替わり。下里さんの父で元料理人の本木茂さん(65)や現役料理人の弟、本木文規さん(39)も腕を振るう。春休み中は1日平均26人が訪れた。「赤ちゃん連れを周りが手伝ったり、子育ての話に花が咲いたりと、自然な交流が生まれていた。ゆくゆくはお年寄りが子どもを見守るなど、地域の多世代交流の場になれば」と下里さん。
4月の開催は、12日以降の毎週水曜日午後4~6時。子ども無料、大人500円以上の寄付を求める。継続のために食材提供や運営ボランティアも募集中。下里さんTEL090・7943・4452