交通教育とらふぃっくSisters 下畑副理事長に聞く―大切な命 自分で守ろう

春、喜びいっぱいの新生活のスタートを迎えた一方、お子さんの行動範囲の広がりに不安もあるのではないでしょうか。中信地区で長く交通安全教育に取り組んでいるNPO法人「交通教育とらふぃっくSisters(シスターズ)」副理事長の下畑秀子さん(69、塩尻市塩尻町)に、親ができることなどを聞きました。

★一緒に歩いて具体的に伝える

道路交通法では、6歳未満の幼児を一人歩きさせてはならないとあり、小学校入学は、保護者の手を離れて一人で歩き出す、人生の中でとても大きな節目になります。ぜひ通学路や近所の道路を何度でも一緒に歩いて、「危ないよ」だけではなく、具体的に「どうすればいいか」を教えてください。その経験が子どものお守りになってくれます。
◆実際の通学時間に歩いてみる
抜け道を猛スピードで走る車、自転車登校する中高生の集団にひやっとするかも。
◆ランドセルの危険性とは?
布製リュックと違い、硬さがあって弾むランドセルは、壁や植木、友達同士でぶつかった時、勢いで車道に飛び出てしまう危険がある。
◆踏切
下りた遮断機を絶対にくぐらないのはもちろん、実際に電車が通る様子を見て、警報音や迫ってくる車輪の勢いと大きさを親子で体感してみる。
◆悪天候時の通学を体験
雨や雪の日は路面状況が変わり、気持ちがせく。かっぱのフードや傘で視界が狭くなるので、普段以上に顔を上げて左右確認をしっかり行う。
◆魔の7歳?
子どもの交通事故死傷者数は7歳が断トツに多い。入学当初は心配していた保護者も少し安心し、子ども自身も慣れてくることが原因と思われている。もう一度気を引き締めて、家庭でも「もしかしてとまるみるまつたしかめる」の声がけをする。

★園の送迎、駐車場は危険地帯と心得て

園の駐車場は、あらゆる方向から幼児が飛び出してくる可能性があるので、最大限注意してください。特に朝は急いでいて、大きな荷物と下の子を抱っこで両手がいっぱいというケースも。
大変なのは本当によく分かりますが、どうか時間に余裕をもって、目と手を子どもから離さないでください。
チャイルドシートは、臨時で送迎するパパや祖父母の車にも必ず付けてください。「たまにだから」「今日だけ」の例外はありません。

★自転車は「車両」、交通社会の一員

自転車通学が決まっていたら、できるだけ前年の夏頃から乗り始めて、自転車と道の両方に慣れておくのがお勧めです。かばんや部活の道具など重い荷物を籠に入れて、大人用自転車でふらつかずに走るのは意外と難しいです。
通学路や習い事で通る可能性がある道は、保護者も一緒に危険箇所を確認しましょう。また、自転車に乗ると交通事故の加害者になる確率も上がります。自転車保険には必ず加入してください。
4月から自転車に乗る人のヘルメット着用が、全年齢で努力義務になりました。自転車は気軽に乗れてスピードも出ますが、「車両」であることを自覚して交通ルールを守りましょう。自分と他の人を守るために―。

【NPO法人交通教育とらふぃっくSisters】 2013年に結成。現在メンバーは9人。幼児や小中学生、高齢者のほか企業や団体など、対象に合わせてミュージカルやスタントなどを取り入れながら、心に響く楽しい交通安全教室を行っている。ウェブサイト