
信州・松本平を美食の街に―と活動する「信州嵐(しんしゅらん)」のファンクラブが発足!
シェフや生産者らが手を結び、コラボメニューを開発したり、1日限りのレストランを開店したりしている「信州嵐」が、多くの人に活動を応援してほしいと今月、ファンクラブを発足させた。
入会資格は「おいしい食が大好き」なことだけ。入会すれば会員証や食事券がもらえるほか、店ごとの特典もある。盛況だったコラボレストランにも優先的に入店できる。
「信州嵐」の活動費は、メンバーが出し合っていたが、使い方が不公平と感じる人もいて、捻出方法が課題になっていた。コロナ禍を乗り越え活動の幅を広げるため、ファンクラブの会費を充てる構想だ。「みんなで美食の街をつくろう」と呼びかけている。
応援力に美食の嵐巻き起こす
食を通して信州に嵐を起こそう―という「信州嵐」。ミシュランで星を獲得しているレストランが多く、世界屈指の美食の街として知られるスペインのサン・セバスチャンをモデルに、2020年5月に発足した。松本地域には、おいしい店が多く、食材にも恵まれていることから、連携することでレベルアップにつなげようと張り切る。
フレンチ、イタリアン、和食、そば、中華料理、和菓子とジャンルを超えた松本地域の料理人、シェフ10人が仲間で、生産者、消費者も含めると現在約20人がメンバーだ。
メニュー開発や試作に使うセントラルキッチンを借り、これまでに複数のシェフが腕を振るった味の異なるおやきセットを発売。9人のシェフが知恵を絞り、当日だけのメニューが並んだぜいたくな「1日限りのレストラン」も開いた。
メンバーから会費を集め、活動費に充てていたが、「会費がセントラルキッチンの費用に消える」「キッチンを使わないのに会費を払うのはどうか」といった声が上がり、セントラルキッチンをなくすことに。さらに活動の幅を広げたいが、自分の店が忙しく、休んでまで活動できない人もいる。こうしたことから、活動費の捻出が課題になった。
メンバーの店で食事をした人に、シェフが料理の説明をしたことが、ファンクラブ発足のきっかけとなった。「一品一品について話を聞けたのは、貴重な体験」の一言に、ファンクラブの特典としたら盛り上がるのではないかと考えた。「説明してもらえたら料理がよりおいしくなるのでは」と広報担当の後藤正樹さん(38、松本市浅間温泉3)。
ファンクラブの年会費は1万円。国内外有名シェフの招致イベント、メンバーの勉強会費用などに充てる。会員は全国から募るといい、最初は100人を目指す。ラトリエ・スズキ(同市大手4)のオーナーシェフの鈴木基之さん(54)は「『ファンクラブ会員です』と県外から来てもらえればうれしい」。
「信州嵐」は、5月の塩尻ワインテラスへ出店、塩尻ワインに合う新メニューを提供する。6月には松本産日本酒に合うおつまみコラボメニューを考案。夏には、地域の食育イベント、秋には限定レストランの開催などを予定している。
ファンクラブが松本のおいしい店を再発見したり、松本を訪れるきっかけになったり。シェフたちの活動を支える安定財源にもなる。より多くの人の応援を受け、美食の嵐を巻き起こしたい考えだ。
【信州嵐ファンクラブ】会費は年度ごとに1万円。毎年度、オリジナル会員証を発行する。特典は、メンバーの店舗(10店舗)で使える2000円の食事券をプレゼント。限定レストランなどの企画を早期案内する。カード払いで5%、現金で10%引き(ラトリエ・スズキで食事券を使わない場合)など、店ごとの特典を受けられる。申し込みはこちらから。問い合わせは事務局へメール(shinchelin@gmail.com)で。