「知らない」を強みに人気の松本観光ユーチューブ

自身の興味や関心で取材「楽しんで」

松本市の松本観光コンベンション協会職員で、SNSなどを活用した情報発信を担う百瀬麗さん(24)が、動画投稿サイト「ユーチューブ」に開設した同協会の公式チャンネルが、アクセス数を伸ばしている。「『松本を知らない』のが自分の強み」と、自身の興味や関心で取材する観光情報が「かえって新鮮」と好評だ。

ベテランとコンビ組み制作

チャンネル名は、百瀬さんの名前をもじった「れいチャンネル。昨年6月に開設し、これまでに「美ケ原高原の歩き方」「雨の日だからいい上高地」「松本観光オススメルート」など、1~15分ほどの動画32本を配信。当初は10人ほどだったチャンネル登録者は、現在は500人以上に。
動画は百瀬さんが案内人になり、同協会事務局長の武井厚志さん(55)が撮影し、2人で編集する。昨年度が社会人1年目、山形村出身で松本に詳しくない百瀬さんは、思い込みや勘違いなどを交え、率直な感想を述べるボケ役。31年目のベテランで、松本の観光のエキスパートでもある武井さんのツッコミがさえ、2人の掛け合いが「笑える」と評判だ。
百瀬さんは「日々、新しいことを知るのが楽しい。地域の人や県外の人に、松本の魅力を知ってほしい」と意気込む。
同協会に就職するまで、観光や旅行にあまり興味がなかったという百瀬さん。「知らないからこそ、興味を持ったことや行ってみたい所、食べてみたい物などを、素直に体験している」と言う。
取材を通じ、自然や風景は同じ場所でも、季節や時間によって見え方が全く異なることを知ったり、街のイベントなどで人の温かさに触れたりし、「視野がすごく広がった」。
百瀬さんには、観光情報を発信することで「松本に若者が戻ってきてほしい」「若者の移住先の選択肢の一つになれば」という思いがある。若い視聴者が「楽しそう」「行ってみたい」と感じられるように、自身が楽しめる企画を心がける。
視聴者からは「参考になる」「季節ごとに楽しめる場所を紹介してほしい」などのコメントが寄せられる。「今後は職人など、ものづくりをする人を取材し、動画を制作したい」と、百瀬さんは2年目も意欲満々。相方の武井さんは「若い人のフレッシュな感性で、興味があることを自由にやってほしい」と見守る。