
村内作家の作品など
何が出るか分からないワクワク感を楽しめるカプセルトイ販売機(ガチャガチャ)、その名も「あさひびじゅガチャ」が、朝日村古見の朝日美術館に登場した。8日始まった「朝日村つくりびと展」とともにお目見えし、訪れた人たちが楽しみながら回している。
「ガチャグッズ」は、同館オリジナルの「とりばっちバッジ」や、村内作家が作った缶バッジ、カード、木彫り人形、スマートフォンスタンドなど、数量限定の多彩な作品たち。1回200円か500円で、カプセルに入った番号に照らし合わせて交換する。
同館学芸員の青木啓子さんは「村内では多くの作家が活動している。ガチャが、作家やその作品を知ってもらうきっかけになれば」と話している。
土偶グッズがきっかけに
朝日村オリジナルのカプセルトイ販売機「あさひびじゅガチャ」。誕生に至る発端は、昨年朝日美術館に誕生した土偶のキャラクターだ。
同館2階に併設の村歴史民俗資料館が所蔵する二つの土偶を、学芸員の青木啓子さんが気に入ってイラスト化。そこで、土偶に愛着を持ってもらい、美術館に興味を持つきっかけにしたい-と愛称を募る「おなまえ選手権」を開いた。決選投票を経て、11月下旬に「とりばっち」と「くるっち。」に決まった。
採用決定者らへの副賞として、青木さんが県立美術館でレプリカの作り方を教わって「とりばっちバッジ」を作った。村図書館にも飾ったところ「かわいい」「欲しい」と声が寄せられた。10個ほど予備があったので「うまく活用できないか」と考えていたところ、段ボールで作る「ガチャガチャ」の作り方を掲載した本を紹介された。「これだ!」と思ったという。
とはいえ、中身が「とりばっちバッジ」だけでは、何が出るかが楽しみな「ガチャ」の意味がない。
ちょうど本年度最初の展示会が、村を拠点に創作活動をしている作家らが出展する「朝日村つくりびと展」だった。以前から朝日美術館には「ミュージアムショップがなく、お土産が買えないのが残念」との声があったことなどから、出展者に声をかけたところ、6人が「面白い」と賛同。展示会の開始までに、個性あふれるさまざまなオリジナル作品を持ち寄った。グッズの種類が豊富になった。
ガチャガチャの“機械”は、段ボールやペットボトルを使って青木さんが手作りした3台。その日の調子で出ないこともあるので、実際に回してみて調子の良い物を使うのもご愛嬌(あいきょう)だ。「よくお店に置いてある機械かと思っていたら、手作り感満載だね」と笑いながら回す人も。出てきた作品の作家を教わる人や、「欲しいと思ってた物が当たった」と喜ぶ人など、大人も子どもも楽しそうだ。
ガチャをきっかけに作家や来館者とコミュニケーションが広がり、「とりばっちがいい仕事をしてくれた」と笑顔の青木さん。「(作家らは)遊び心を持ってグッズを作ったり協力したりしてくれる。200円や500円では利益にはほど遠いが、少しでもPRになればうれしい」と期待を込める。
今回はグッズが無くなり次第終了するが、作家らから「続けてほしい」「今回はできないが、次は参加したい」と声が上がっており、第2弾、3弾を行う予定。今は段ボール製の手作りガチャも、青木さんが木工を教わって村産カラマツ材で作る計画もあるという。「あさひびじゅガチャ」がさらに広がりをつくっていきそうだ。