
二足のわらじ家族も温かく見守る
生坂村の滝沢智穂さん(20)は高校卒業後、両親が営む農園で野菜や米作りに励む傍ら、ネイルアートの技術を習得し、直売所の一角にサロンをオープンした。「どちらも好きな仕事」といい、正業も副業もないダブルワークに、若さと持ち前のバイタリティーで取り組んでいる。
小学生の頃に農園継ぐ決意
「滝沢農園」は米とズッキーニ、タマネギの種、アスパラ菜を主に、チンゲンサイやモロヘイヤ、オクラなど、年間を通して多くの野菜を栽培し、自社や安曇野市などの直売所で販売している。
就農3年目の滝沢さんは、大型特殊免許を取ってトラクターに乗り、30キロの米袋も1人で運ぶ。田んぼのあぜ塗りをしたり、午前5時前に起きてズッキーニの人工授粉をしたり。父の修吾さん(52)は「自分で何をやればいいか、考えてやってくれる。細かいところまで気を配れる」と目を細める。
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小さい頃から姉や妹と畑で遊び、修吾さんが運転するトラクターに乗ったり、作業を手伝ったりし、農業を身近に感じて育った滝沢さん。小学生の頃には「農園を継ぐ」と決め、迷わず農業高校へ進学。花を育てて売った経験から「自分たちが作ったものを、お客さんに直接届ける喜びを学んだ」という。
今は農作業のほかに、販売する野菜の食べ方などを客に伝える手描きのポップを手がけるほか、販売中の野菜をインスタグラム=(https://www.instagram.com/shu_5_414/)=で紹介。「直売所でお客さんに、野菜のおいしさを伝えながら売るのが楽しい」と、接客にも魅力を感じている。
高校卒業式でネイルに興味
ネイルに興味を持ったのは、爪を樹脂素材で保護して彩る「ジェルネイル」を、高校の卒業式の時に初めて施してもらい、「すてきで感激した」のがきっかけ。自分でやってみたいと思い、知り合いのサロンで爪のケアや塗り方など施術の基礎を学んだ後、動画を見てネイルアートを独学で習得した。道具をそろえて昨年11月、サロン「urunail(うるネイル)」を開いた。
農園の仕事を終えた夜に腕を磨き、「奥が深く、そこがまた楽しい」と滝沢さん。口コミで固定客も少しずつ増えている。これから農繁期を迎えるが、「両立は苦ではない」ときっぱり。修吾さんは「ネイルの予約が入ったら、そちらを優先で」と、二足のわらじを履く後継ぎを、温かく見守る。
ネイルサロンは予約制。TEL080・7880・6559、インスタグラム=(https://www.instagram.com/uru_nail__/)。