「三夜塚遺跡」の写真文集出版へ

山形村の三夜塚(さんやづか)遺跡と縄文時代を多くの人に知ってほしい─。同村出身の関谷昌也さん(76、松本市城東)が、作成中の写真文集「失われゆく縄文 ─ 三夜塚遺跡物語」を出版するため、クラウドファンディング(CF)で支援を募っている。
同遺跡は、松本平で最大規模の縄文期の集落群跡という。関谷さんは子どもの頃、遺跡近くの畑で農作業を手伝いながら土器や石器を拾い集め、縄文時代が好きになった。一時は遠ざかったが、60歳で退職したのを機に、縄文時代や写真について学び、現在は松本市教育委員会文化財課の発掘作業員として、考古学の実践的な勉強に励む。
「縄文土器は創造性が豊か。当時の環境は厳しかったが、人間同士の争いはなかったといわれている。今、学ぶべき文化では」と関谷さん。「足の下にある縄文文化の素晴らしさを子どもたちに伝え、郷土愛につなげたい」と出版を決めた。
本は20×22センチ、約110ページ。千冊限定で今秋に出版予定。関谷さんが撮影した同遺跡出土の土器の写真と、縄文人が暮らした環境を連想させる風景写真を組み合わせ、当時の暮らしに思いをはせた物語も添える。土器は知人が所蔵する復元品と、村所蔵のものなどを掲載する。
「地元の考古学者の間では、三夜塚遺跡の規模は青森県の三内丸山遺跡に勝るとも劣らないといわれているが、実態は解明されていない」と関谷さん。当初は出版費用の180万円全額を自費で賄おうと考えたが、「多くの人が興味を持てば、解明に向けてうねりを起こせるのでは」と、CFで支援を募ることにした。
目標額は80万円。CFサイト「モーションギャラリー」=こちら=で7月10日まで受け付けている。問い合わせは関谷さんTEL090・6002・8287