貴重な「アカハネバッタ」標本展示

塩尻市立自然博物館(塩尻町)は、10年ほど前に県内で約50年ぶり、国内では約30年ぶりに生息が確認された「アカハネバッタ」の標本の展示を始めた。県版レッドリストで「絶滅危惧※Ⅰ類」(絶滅の危機にひんしている)に指定され、採集が禁止されている虫の貴重な標本だ。
頭から翅端(したん)の長さ約25ミリの雄。飛んだ時に見える後羽の一部が赤いのが名前の由来だが、標本は羽を開けないため、写真で示した。
標本は、昆虫の成長を卵の段階から研究し、進化の過程を明らかにする「昆虫比較発生学」の先駆者だった安藤裕さん(2010年に死去)から、20年ほど前に寄贈された約3千点の一つ。
見つけたのは、同館が収蔵する標本の、データベース化などに協力している研究者の各務寿さん(飯田市)と青木由親さん(下諏訪町)。
昆虫専門誌「月刊むし」に昨年末に載ったアカハネバッタの記事で、安藤さんが1960年に採集した雌の標本が、上田市の菅平高原自然館にあることを知り調べたところ、同じ日付と場所の採集記録が付いた標本を見つけた。法律で標本の移動はできず、雌雄を一緒に展示することはできないという。
元館長で安藤さんに師事し、標本を寄贈された小林比佐雄さん(86、宗賀)は「先生とのつながりで頂いた貴重なもの。多くの人に見てもらえたら」。
同館は5月12日まで平日休館(3~5日は開館、6日休館)。13日から月曜のみ休館。TEL0263・53・6342