
池田町会染の陶芸家・篠田明子さん(60)は10~16日、松本市深志2の百貨店井上のギャラリーで作陶展「新境地の幕明(あ)け」を開く。「邂逅(かいこう)(偶然の出会い)シリーズ」と名付けた小さめのオブジェを額装した壁掛けを出展。成形後に模様を彫り、違う土や釉薬(ゆうやく)を埋め込む「象嵌(ぞうがん)」技法の花器なども含めて約70点を並べる。
「邂逅シリーズ」は、磁器用の土を2、3ミリの厚さの板状にし、30センチほどの高さから下に投げることから始まる。横に幾つかの、流れるようなひだができるため、それを生かしながら好きな形に整える。素焼きから、釉薬をかけての本焼き後、1~3個ずつ額に入れて完成させる。
「どんなひだができるのか分からず楽しい。まさに、邂逅。土を投げる時も、『面白い形になあれ』と願いながら行う」とほほ笑む。
作品には、水滴が水面に落ちて波紋が広がる様子を表した「Drop(雫(しずく))」、「Ripples(さざ波)」などの名前が付く。「Memoire(追憶)」には、1カ所だけ象嵌で自身のオリジナルの三角模様を入れた。「この三角は、やっとできた模様。できるまでのことを考えて、オブジェにちょこっと入れ込んだ」
こうした模様は、三角の他に、細い楕円(だえん)もある。「夕焼けの空を少しずつ切り取って表したら、独特の三角や楕円になった」。象嵌作品は、花器や水差し、食器など50点ほど。
午前10時~午後6時半(16日は3時)。井上TEL0263・33・1150