漫画家角野レオさん ウェブで漫画連載から1年

松本市の漫画家、角野(かどの)レオさん(47、蟻ケ崎)は、デビュー作「たまたまエン魔ポンタマくん」を、出版社の世界文化ブックス(東京都)のウェブ漫画サイト「コミックカルラ」に連載して1年がたった。「主婦でも挑戦できるんだ」と自信を深めている。
「ポンタマくん」は小学生向け。地獄から来た閻魔(えんま)大王の息子が主人公で、人間界でさまざまな修業を積み、本人も周りの友達も一緒に成長していくストーリー。月1回のペースで連載している。
中学3年生の娘と小学6年生の息子、2児の母親。漫画家デビュー前からウェブデザインの仕事をしている。子どもたちの行動や発言が、創作のヒント。「少しでも心が軽くなり、共感してもらえる内容を心がけています」

創作のヒントは子どもらの発言

「漫画は心の支え」と話す角野レオさんは、子どもの頃から漫画が大好きでよく読んでいた。「元気をもらい、生き方を教わった。生活の一部でした」
デビュー作「ポンタマくん」を描き始めた当時、息子が小学4年生だったことから、主人公のポンタマくんの年齢設定も小学4年生に。小学生は普段どんなことを考え、どんなことが嫌なのか─。息子やママ友達の子どもの発言や行動など、何げないエピソードや会話からヒントを得て、漫画に取り入れるなどしている。
例えば、人のネガティブな気持ちを食べに来る悪霊、うそをつくと生えてくるウソツキノコなど、小学生にありそうな悩みや考えを、妖怪などの姿を借りて分かりやすく表現している。
角野さんは、ウェブデザインの仕事をしながら趣味でオリジナルキャラクターのイラストを描くなどしていた。漫画は昔から好きで、高校時代は漫画研究会に所属し、オリジナル作品を描くこともあった。

転機は「漫画塾」互いに切磋琢磨

転機は2021年春。人気漫画「北斗の拳」原作者で佐久市出身の武論尊さんが塾長で、プロの漫画家や小説家を目指す人たちを対象にした「武論尊100時間漫画塾」のチラシを、夫が見つけてきた。
県内を中心に生徒を募集し、選考に受かった約30人が通う。育児を題材にした漫画を提出してみたところ、選考を通過し2021年9月から入塾が決まった。
現役の漫画家や編集者から、漫画の基礎知識や描き方などを一から学べる ─ 。入ってみると「楽しかった。世界が変わりました」。塾生にもプロデビューしている人がいて、互いに切磋琢磨(せっさたくま)する刺激的な生活が始まった。「子育て中の主婦という立場も、年齢も関係なく、挑戦していいんだ」と思えたという。
出版社の世界文化ブックスがウェブ漫画サイトを立ち上げるに当たり、22年1月、担当の編集者から「子ども向けの漫画を描いてみないか」と声をかけられた。同年4月に連載が始まり、現在も続いている。「私は漫画を読んで笑ったり、元気をもらったりしていた。自分が描いたものが連載となり、そういう読まれ方をすると思うとうれしく、信じられない」と角野さん。
今後は、仕事や家事と両立しながら、「いろんな作品を描けるよう、幅を広げていきたい」と意気込む。
漫画は=ウェブ=のみ。