プロ3年目24歳2度目の挑戦
松本ACEボクシングジム(松本市渚2)所属のプロボクサー高熊龍之介さん(24、上田市)は、今年の全日本新人王のタイトル獲得を目指している。ジムの門をたたいてから3年近く、平日はほぼ毎日、車で往復3時間かけて練習に通う。同ジム初のチャンピオンベルトを巻く期待を背に、強くなることだけを考え、毎日を過ごしている。
整備士の仕事終え上田から
ある日の夕方、自動車整備士としての仕事を終えた高熊さんが、国道254号三才山トンネルを通ってジムに到着した。髙山祐喜会長(37)が見守る傍らで、手にバンテージを巻くなどトレーニングの準備を急ぐ。
日本プロボクシング協会に加盟する同ジムは、プロボクサーを育成・管理できる県内唯一のジム。遠くから通うプロ志望者はこれまでもいたが、多くは長続きしなかったという。
佐久市出身で上田で生活し、2020年8月に入会した高熊さんもそんな一人。髙山会長は「期待し過ぎないようにしていた」と言うが、半年たっても1年たっても真面目に通いを続けた高熊さんは、右肩上がりに技量が向上。今では、「スタミナはジムで一番。最も期待する若手」(髙山会長)と認められるようになった。
ジム初のタイトル期待背に
21年6月にプロテストに合格。昨年、デビューから2連勝でフライ級(50.8キロ以下)の東日本新人王トーナメントに臨み、1、2回戦を突破して4強入りした。無敗の高熊さんは優勝候補と目されたが、準決勝(9月)でまさかの1回KO負けを喫した。
約半年がたち、3回まで挑戦できる新人王に、今年も出場を決めた。東日本で優勝し、西日本・中日本・西部日本の各地区勝者の代表を倒して「全日本新人王」になり、日本ランキング入りするのが最大の目標だ。
東日本の初戦の2回戦(4月27日)では、昨秋初めて黒星を付けられた相手と同じサウスポーと対戦し、2回TKO勝ちを収めた。前年同様に4強入りし、準決勝は9月15日に予定されている。
「全日本新人王になる自信はある。勝利を重ね、タイトルという形あるものを手に入れたい」と高熊さん。「ボクシングは、自分の人生を豊かにしてくれる」と熱く語るホープに、髙山会長は「フライ級にしては長身(171センチ)でリーチも長いが、まだそれを生かし切っていない。課題を克服し、ぜひベルトを巻いてほしい」と力を込める。