
「ニクセン」適地の町をPR
木曽町の地域おこし協力隊員・三島卓也さん(28)は着任2年目。自然の中でデジタル機器と離れた時間を送り、心身をリフレッシュさせる「デジタルデトックス」の体験型講座を企画、運営するなど、新たな切り口で町をPRし、移住者増や住民と町外の人との交流につなげようとしている。
スマホ持たず自然楽しむ
「デジタル-」は一定期間、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの端末に触らず、現実世界でのコミュニケーションや自然に目を向け、ストレスを軽減する手法。
近年、世界的に注目され、日本では一般社団法人「日本デジタルデトックス協会」(東京、名古屋)が2016年に設立。三島さんは同協会の認定資格「デジタルデトックス・アドバイザー」を持つ。
企画した講座のタイトルは「木曽路でNiksen(ニクセン)」。ニクセンはオランダ語で「あえて何もしない」を意味する動詞。転じて居心地の良い空間で、自身を日常の義務や生産から解放する、新しいリラックス法を指す。
4月から来年3月まで毎月1回、同町日義にある工務店のモデルハウスを会場に、1泊2日で開催。参加者はスマホを箱にしまった後、近くを散策したり、共同で夕食を作ったりする。
初回は県内の50代と県外の30代の2人が参加。「1人だとついスマホを手にしてしまうが、ほかの参加者と一緒で離れることができた」「悩みを共有できた」などの感想を残した。
5月からは、同町福島の大通寺で座禅を体験する、日帰りの「お寺でデトックス」も開始。今後はキャンプ場で開くなど、郡内の自然を生かしたいという。「木曽はデジタルデトックスする場所として最高の環境。新しい休み方を伝えながら、PRしたい」と話す。
体調崩し退職資格を取得
三島さんは岐阜県出身。大阪の大学を卒業して経営コンサルティング会社に就職し、パソコンやスマホなどをフル活用して忙しく働いた結果、体調を崩し一昨年に退職。デジタル機器にとらわれることに危機感を持ち、アドバイザーの資格を取得した。
その後、友人が協力隊員をしている木曽町に移住し、昨年4月に自身も採用された。フィンランド発祥のスポーツ「モルック」の全国大会を町で開こうと、サークルを立ち上げる活動も。「住民の皆さんに声をかけてもらえるのがうれしい。木曽に人を呼び、交流の場を広めたい」と意気込む。
講座やモルックサークルなどの問い合わせは三島さんにメール(takuyamishima6127@gmail.com)で。