【記者兼農家のUターンto農】#103 カエル混入

信じられないと思いつつ

サラダにカエルが混入していたというニュースには驚いた。材料の一つ、サニーレタスに混ざっていた疑いがあるという。同じリーフレタス類を収穫していて思う。そんなことがあるのだろうか。
以下は、現場の端っこで考える一般論だ。
収穫時、カエルは畑に時々いる。近づくと、当然、ピョンピョン逃げていく。葉っぱの間に隠れたとしても、人間が株を持って根元を切る作業はカエルにとって激震だ。株はしばらく地面に置いてから箱に詰めるから、はい出す間はある。
しかし、寒さで動けないことがあるかもしれない。最近まで霜の降りる朝があった。
不運にも出荷ルートに巻き込まれたとしても、市場で検品がある。うちは過去、青虫がいたというクレームでその日の出荷分すべてを返品されたことがある。それなりに厳しい目にさらされる。
それをすり抜けたとしても、最後には加工場でのチェックがある。今回のサラダの製造元は、洗浄や異物検査の態勢を強化するという。ここが甘かったとみているのだろうか。
幾重にもわたる関門を破ったのか、ルートの途中で割り込んだのか。いずれにしても、カエルは人の口に入ってしまった。起こり得ないことが起こった、ごくまれなケースと思いたい。
普段、畑で見るカエルは好ましくさえある。彼らがいるということは、餌となる虫だったりミミズだったりがいるということ。生態系が機能している環境だということを、カエルの存在で直観する。
けれど、一般の食卓にふさわしくないことは明らかだ。自然の恵みの象徴かもしれないが、人の手が加わる過程できれいに取り除かれなくてはならない。同じような存在に土がある。
作物から食品へ、自然と社会の橋渡しの最初に農家はいる。面白いし、責任もあると改めて思う。