自閉タイプの方は「パニック」を起こしやすいといわれます。いわゆる「パニック」というのは、予定が変わる等の想定外のことが起きたり、強いストレスがかかったりして、混乱状態に陥り、自分の思考や感情がコントロールできなくなっている状態をいいます。
大声を出す、物を投げるなどの暴れる・かんしゃく系の行動や、自分の腕をかむなどの自傷行動、思考・行動が停止(いわゆるフリーズ状態)、泣く・人に絡む…といった行動として現れることがあります。観察していると、お子さんによって、パニックに陥りやすいシチュエーション、パターンがあるので、可能な範囲で予防的に環境調整を試みますが、本人の想定外が、周囲の想定外を超えてくることはしばしばで、防ぎようもないことも当然あります。
「パニック」状態に陥っているときは、周囲が?ったり、声をかけてなだめたり、説得したりすると、それがかえって刺激となって重なるので余計に悪化します。また小さい子のように抱っこしたり、トントンしたりしてなだめるのも、そうしてもらわないと収まらないという不適切なパターン化になってしまいます。
混乱状態に陥っているときは、周囲からの刺激を減らしましょう。そのために周囲の刺激を遮断して、1人で元の状態に速やかに戻れるような空間があるとよいです。カームダウンエリアと呼んでいます。人が1人入れる程度の仕切られた空間で、横になるなどしてリラックスできるように布団やクッションなどを置き、1人で感情の興奮が収まるのを待ちます。ここに入るとパニック状態が速やかに収まるということを経験すると、自分から入れるようになっていきます。
次回は、カームダウンエリアの使い方についてもう少し詳しくお話しします。
【なないろキッズ】 #84 「パニック」を収める
- 2023/05/31
- 小児科医・新美妙美のなないろキッズ