
前田さん劇作家賞・演出家賞も受賞
松本市を拠点に活動する劇団野らぼうが、都内で開かれた第13回せんがわ劇場演劇コンクール(5月20、21日)でグランプリを、同劇団の前田斜めさん(同市筑摩4)が劇作家賞と演出家賞を受賞した。
受賞作は「ロレンスの雲」。シェークスピア作、坪内逍遙訳の「ロミオとジュリエット」を土台に、前田さんが脚本と演出を手がけた。3月から松本をはじめ県内外で上演し、4日の公演(福島県)で千秋楽を迎える。
題名にあるロレンスとは、原作でロミオとジュリエットが結婚できるよう一計を案じ、仮死状態になる薬をジュリエットに与えたロレンス神父のこと。
前田さんは、ロレンスとジュリエットの乳母が夫婦となり宇宙を旅するオリジナルストーリーと、シェークスピアのロミオとジュリエットの話を交錯させた脚本を執筆。老夫婦は生身の役者が演じる一方、ロミオとジュリエットは人形で表現した。
さらに「ゼロカーボン演劇」と銘打ち、上演に際しては、稽古場の屋根の太陽光パネルで生成した電力のみを使う試みにも挑戦。さまざまな要素を盛り込んだ作品は、審査員から「演劇の枠を広げた」と高い評価を得た。
前田さんは「三つも賞をいただいて、本当に驚いた。他の劇団や審査員から多くのヒントを得たし、新たに挑戦してみたいこともある。次回作に生かしたい」と力を込めた。
同コンクールは調布市文化・コミュニティ振興財団(東京都)が主催。1、2次審査を通過した5団体によって競われた。