
前回の記事で紹介したカームダウンエリア(興奮・パニックを鎮めて落ち着くためのスペース)の使い方について説明します。
家庭や学校の中に、区切った一画を用意します。例えば家では押し入れの下段や階段裏を使ったり、おもちゃのテントのようなものを購入したりするのもよいでしょう。学校ではパーティション等で区切るのが簡単です。
あまり広すぎると落ち着かないので、人が1人ぎりぎり入れるくらいの空間がよいです。マットレスやクッションなどで横になったり、もたれたりしてリラックスできるようにします。中にはいろいろ物を置き過ぎず、本人がリラックスできるためのグッズを少量置きます。ぼーっと眺められるオイルタイマー、リラックス効果のあるアロマピロー、お気に入りの縫いぐるみなどで試してみてください。
初めは興奮していない普通の時に、「リラックスタイム」として使ってみましょう。そこでぼーっと気持ちを落ち着けられる感覚を身に付けられるとよいです。落ち着ける場所だと実感できたら、次はイライラ・興奮、混乱状態に陥ったときも、ここに来ると早く元の状態に戻れるということを、手順書などを使って説明しておきましょう。
そして少しイライラしかけている早めの段階で、手順書などを見せて利用を促します。この時、「イライラしているからその部屋で頭を冷やしてきなさい」などと懲罰的に受け取られるような言い方をすると、反発して利用したがりません。
言葉で誘導するよりは、カームダウンエリアの存在を思い出せるようなカードや手順書を見せるだけ(使うか使わないかは本人にゆだねる)にするとよいでしょう。カームダウンエリアを使って早く落ち着ける実感が持てると、自分から使えるようになってきます。