
刺激的な出会いの場にも
松本市の今町通りにある古物店「偏集舎」(大手2)。有坂宗大さん(27)が自身の感性で選んだ物を、全国各地から集めて販売している。ギャラリーを兼ねた店内は家具や絵画、カラフルな雑貨などが整然と並ぶアートな空間。古物の魅力を伝え、物と出合う人の心を躍らせることができたら―と願う。
基準は“エトナルモノ”
鮮やかな黄色のケトルや花柄のチェア、エキゾチックな模様の動物のオブジェ、たばこ店で使われていたディスプレー台、昭和レトロなポスターなど、自身の好みに「偏って集めた」物を売る。
選ぶ基準は「えっ!?と驚く物」と「絵になる物」を合わせた“エトナルモノ”。建築やグラフィックを学んだ有坂さんは、色や形に特徴がある物に引かれるという。店は、他に縫いぐるみ作家と刺しゅう作家の3人で共同運営している。
建築家の道を志す中で
有坂さんは東京都出身。大学卒業後、建築家を目指して専門学校に入ったが、コロナ禍で1年近く休校に。空いた時間を使い、大工だった祖父が使っていた倉庫で木工に挑戦し始めた。
家具の歴史や技術を学びながら制作するうち、新しい物をデザインするより、古い物に目がいくように。サステナブル(持続可能)を求める社会の風潮にも後押しされ、古物の世界に入った。
知人の縁で2年前に松本へ移住。オンラインストアとイベント出店で販売を始め、共同の実店舗を構えたのは今年3月。店は「ふらっと人が集まり出会いが生まれ、美術館やギャラリーで体験するような刺激、アイデアソースを得られる空間にしたい」という。
文章を書くことや、言葉遊びも好きな有坂さん。取り扱う物の情報や伝えたい思いを、ユーモアを交えてオンラインストアで紹介しているほか、今後フリーペーパーも発行し、紙でも自身の活動を発信するつもりという。インスタグラム=こちら